櫻井獣医師インタビュー:ペットの健康を支える訪問診療の取り組み『一般社団法人往診獣医師協会』

サービスの概要

一般社団法人往診獣医師協会は、日本全国に訪問診療を行う獣医師の体制を整え、ペットと飼い主様の健康を支援することを目指しています。これにより、動物病院に連れていけない状況下でも、ペットに必要な医療ケアを提供し、ペットと飼い主様の心身の健康を維持します。訪問診療は予防医療から病気の早期発見、終末医療まで包括的なサービスを提供し、ペットの健康を支える重要な役割を果たします。

この記事では、一般社団法人往診獣医師協会の副理事長であり獣医師の櫻井崇史氏にインタビューを行いました。

創業のきっかけと背景

記者:どのようなきっかけでサービスを開始したのでしょうか?

櫻井氏:勤務医時代に通院困難な大型犬の、終末期医療の主治医になりました。そのとき、訪問診療の必要性を強く感じたため、往診専門の病院を開業しました。協会としては、初期はエリア的、時間的に対応できない飼い主様を紹介し合うための、個人的なコミュニティとしてはじめました。人数が20人を超え、規模が大きくなってきたため、2022年に社団法人化しました。

サービス提供において最も重視していること

記者:運営またはサービス提供するにあたって一番力を入れていることを教えてください。

櫻井氏:往診医として重視しているのは、一件に時間をかけて“納得できる”診察をするということです。よく話し合って、その子と家族にとって、最適な医療を提供できるよう心がけています。協会としては、全国どこでも往診サービスを受けられるように、飼い主様への認知度を上げるとともに、往診獣医師を増やす活動をしています。 

利用してほしい方々について

記者:どのような方に利用していただきたいですか?

櫻井氏:動物病院に行くのが難しいペットや、様々な理由で移動が困難な飼い主様に、ぜひ利用していただきたいと思っています。まだ往診獣医師のいない地域もありますが、近年順調に増えてきていますので、治療の選択肢として検討してもらいたいです。協会のHPに往診獣医師を探せるマップを掲載しているので、困ったときには確認していただければと思います。

櫻井獣医師(一般社団法人往診獣医師協会 副理事長)


利用者からの声

記者:実際に利用した方からどのようなお声をいただいていますか?

櫻井氏:飼い主様からは、「獣医師が家に来てくれるなんて知らかった!「ゆっくり丁寧に説明してくれたので安心できた」「診察にかかるストレスが全然違う」など、様々なご意見をいただいております。通院に関するストレスが軽減でき、時間をかけて診察・相談できるので、飼い主様からは重宝されていると思います。

サービスを始めて良かったこと

記者:このサービスをはじめて、よかったことは何ですか?

櫻井氏:飼い主様との距離が非常に近く、密なコミュニティが取れることが良いですね。飼い主様の自宅で診察を行うため、ペットもご家族の方もリラックスした状態でお話しいただけます。また、病院では一件の診察に5~10分ほどしかかけられませんでしたが、往診では時間をかけて、可能な限り先の見通しを説明するようにしています。往診は重篤な疾患も多いので看取りに立ち会うことも多いですが、亡くなった後にお手紙をいただいたり、また家族を迎えたという連絡を聞いたときはとても嬉しいですね。

他との差別化ポイントと最終メッセージ

記者:ほかに何かアピールがあれば教えてください。

櫻井氏:飼い主様には、本当に困る前に知識として訪問診療があるということを知っていてほしいです。事前に、治療の選択肢の一つとして考えていただけると、飼い主様もペットも、医療に対してのストレスを減らすことができるかもしれません。

まとめ

一般社団法人往診獣医師協会は、往診診療を通じて、動物病院に通うことが難しいペットや飼い主様のご自宅で診療を提供しています。訪問診療の認知を広め、往診獣医師の数を増やし、すべてのペットに治療を届けるために活動しています。

また、高齢化社会におけるペットの終生飼育という課題にも取り組み、地域社会活動の一環として、飼い主様の見守りなどにも貢献している協会です。

この記事を書いた人

トリマー ひろこ

大学卒業後、「走れ!T校バスケット部」作者のもと、アシンスタントとして勤仕。数年後、昔から夢だったトリマーを目指し専門学校に入学。JKCトリマー・ハンドラー資格取得。トリミングサロン、動物病院、個人店経営の経験後、現在は母校の専門学校で運営の手伝いをしながら、記事を制作。18歳の息子をもつシングルマザー。