犬にも口内炎はある?見逃してはいけない危険なサインとは

「最近、愛犬が食事を食べたがらない」「よだれの量が増えた気がする」「口の臭いがきつくなった」そんな症状に気づいたことはありませんか?これらは犬の口内炎の典型的なサインかもしれません。

犬の口内炎は、人間と同様に口の中の粘膜に炎症が起こる病気です。軽度であれば自然治癒することもありますが、放置すると重篤な状態に進行する可能性があります。また、口内炎だと思っていたら実は他の深刻な病気だったというケースも少なくありません。

今回の記事では、犬の口内炎について、症状の見分け方から原因、治療法、予防方法まで詳しく解説します。愛犬の健康を守るために、ぜひ最後まで読んで正しい知識を身につけてください。

犬の口内炎の症状と見分け方

愛犬の口内炎を早期発見するためには、日常的な変化に気づくことが大切です。犬は痛みや不快感を言葉で伝えることができないため、飼い主の観察力が愛犬の健康を左右します。

1.食事や飲水時の変化

口内炎の最も分かりやすいサインは、食事に関する変化です。いつものように食べ物に興味を示すものの、口に入れた途端に嫌がったり、片側だけで噛んだり、食べるスピードが異常に遅くなったりします。特に、硬いドライフードを避けて柔らかいウェットフードばかり欲しがるようになった場合は要注意です。

水を飲む際にも変化が現れます。喉は渇いているようなのに、水を飲むのを躊躇したり、少しずつしか飲まなくなったりします。また、食後に食べ物を口から落とすことが増えたり、食べカスが口の周りに付着したままになったりすることもあります。

2.口周りの外見的な変化

口内炎が進行すると、外見的な変化も現れます。よだれの量が明らかに増加し、特に粘り気のあるよだれが継続的に出るようになります。よだれに血が混じっていたり、異常な臭いがしたりする場合は、炎症が悪化している可能性があります。

口の周りを頻繁に前足で掻いたり、壁や床に顔をこすりつけたりする行動も見られます。これは口の中の痛みや違和感を和らげようとする本能的な行動です。また、飼い主が口周りを触ろうとすると嫌がったり、普段は大人しい犬でも唸り声を上げたりすることがあります。

3.行動面での変化

口内炎による痛みは、犬の全体的な行動にも影響を与えます。普段は活発な犬が元気を失い、散歩を嫌がったり、遊びに興味を示さなくなったりします。また、口を開けることを避けるため、パンティング(口を開けてハアハアする呼吸)が少なくなることもあります。

さらに、口の痛みによるストレスから、普段とは異なる場所に隠れたがったり、飼い主との距離を取ろうとしたりする行動も見られることがあります。これらの行動変化は、口内炎以外の病気でも現れる可能性があるため、総合的な判断が必要です。

ひろこ

愛犬の口の状態をチェックするときは、無理に口を開けさせようとしないことが大切です。痛みがある状態で無理に触ると、犬が驚いて噛んでしまう可能性があります。まずは、唇を優しく持ち上げて前歯や歯茎の色を確認することから始めましょう。赤く腫れていたり、白っぽいできものがあったり、出血していたりする場合は、それ以上の検査は獣医師に任せることをおすすめします。日頃から口周りを触らせてくれるよう、健康な時から慣らしておくことも大切ですよ。

犬の口内炎の原因と種類

犬の口内炎には様々な原因があり、その原因によって治療法も大きく異なります。適切な治療を行うためには、まず何が原因で口内炎が起こっているのかを正確に把握することが重要です。

1.外傷による口内炎

最も一般的な原因の一つが、物理的な外傷による口内炎です。硬いおもちゃや骨を噛んだ際に口の中を傷つけたり、散歩中に拾い食いした尖ったものが口内を傷つけたりすることで発症します。また、歯石の蓄積により歯茎が傷ついたり、古くなった歯が欠けて口内を刺激したりすることもあります。

特に活発で何でも口に入れたがる犬や、硬いものを好んで噛む習慣のある犬では、このような外傷性の口内炎が起こりやすい傾向があります。多くの場合、外傷の治癒と共に口内炎も改善しますが、感染を併発すると長期化することがあります。

2.細菌やウイルス感染

口の中は常に細菌が存在する環境ですが、免疫力の低下や口内環境の悪化により、これらの細菌が過剰に繁殖して口内炎を引き起こすことがあります。特に、歯周病が進行している犬では、歯周病菌が原因となって重篤な口内炎に発展することがあります。

また、犬ヘルペスウイルスやその他のウイルス感染により口内炎が発症することもあります。ウイルス性の口内炎は、しばしば発熱や全身症状を伴うため、単純な口内炎よりも注意深い観察と治療が必要です。

3.免疫系の異常や全身疾患

犬の口内炎は、時として全身の免疫系の問題や他の疾患の症状として現れることがあります。自己免疫疾患や糖尿病、腎臓病、肝臓病などの全身疾患により免疫力が低下すると、口内炎が発症しやすくなります。

また、抗がん剤治療や免疫抑制剤の使用により免疫力が低下している犬では、軽微な刺激でも重篤な口内炎に発展することがあります。このような場合、口内炎の治療と併せて、基礎疾患の管理も重要になります。

4.食物アレルギーや接触性皮膚炎

特定の食材や添加物に対するアレルギー反応として口内炎が現れることもあります。新しいフードに変更した後に口内炎が発症した場合や、特定のおやつを食べた後に症状が現れる場合は、食物アレルギーを疑う必要があります。

また、プラスチックやゴム製のおもちゃ、食器などに対する接触性アレルギーにより、口の周りや口内に炎症が起こることもあります。この場合、原因となる物質を特定して除去することで、症状の改善が期待できます。

治療法と家庭でのケア方法

犬の口内炎の治療は、原因と症状の程度に応じて決定されます。軽度の場合は家庭でのケアで改善することもありますが、重篤な場合は速やかな獣医師の診察が必要です。

1.獣医師による専門治療

口内炎の診断には、視診に加えて、場合によっては血液検査や口内の細菌培養検査が必要になることがあります。治療法としては、抗生剤や消炎剤の投与が一般的で、痛みが強い場合は鎮痛剤も併用されます。ウイルス感染が疑われる場合は、抗ウイルス薬の使用も検討されます。

重篤な場合や慢性化した場合は、全身麻酔下での口内洗浄や、壊死組織の除去などの外科的処置が必要になることもあります。また、歯石が原因の場合は、歯石除去と併せた歯科治療が行われます。

2.家庭でできるサポートケア

獣医師の治療と併行して、家庭でもできるケアがあります。まず重要なのは、食事内容の調整です。硬いドライフードから柔らかいウェットフードに一時的に変更したり、ドライフードをお湯でふやかして与えたりすることで、口内の刺激を最小限に抑えることができます。

また、口内を清潔に保つため、獣医師の指導の下で薄めた塩水や専用の口内洗浄液でのうがいを行うこともあります。ただし、犬が嫌がる場合は無理に行わず、ストレスを与えないよう注意が必要です。

3.予防と再発防止

口内炎の予防には、日常的な口腔ケアが最も効果的です。定期的な歯磨きにより歯石の蓄積を防ぎ、口内環境を清潔に保つことが重要です。また、硬すぎるおもちゃや骨は避け、犬が安全に遊べるものを選ぶことも大切です。

拾い食いを防ぐための訓練や、口に入れてはいけないものを犬の手の届かない場所に保管することも、外傷性口内炎の予防につながります。さらに、定期的な健康診断により、全身疾患の早期発見・早期治療を行うことで、二次的な口内炎の発症を防ぐことができます。

ひろこ

口内炎の治療中は、愛犬の食事への工夫がとても大切です。痛みで食べられない時は、栄養価の高いパテやムース状のフードを指で少しずつ与えてみてください。また、水分摂取も重要なので、フードに水分を多めに加えたり、無塩のチキンスープを薄めて与えたりするのも効果的です。治療期間中は体重減少にも注意が必要なので、食べやすさを最優先に考えて、一時的に普段よりも嗜好性の高いフードに変更することも獣医師と相談してみてくださいね。回復すれば、元のフードに戻せます。

まとめ

犬の口内炎は、軽度であれば比較的短期間で治癒する疾患ですが、放置すると重篤化したり、他の深刻な病気の症状である可能性もあります。愛犬の食事の様子やよだれの状態、口周りの行動に日頃から注意を払い、異常を感じたら早めに獣医師に相談することが重要です。

治療と併せて家庭でのケアを適切に行い、再発防止のための予防策を継続することで、愛犬の口内環境を健康に保つことができます。口の健康は全身の健康にも深く関わっているため、定期的なチェックと適切なケアで、愛犬の生活の質を向上させてあげましょう。最後までお読みいただきありがとうございました☺

この記事を書いた人

トリマー ひろこ

大学卒業後、「走れ!T校バスケット部」作者のもと、アシンスタントとして勤仕。数年後、昔から夢だったトリマーを目指し専門学校に入学。JKCトリマー・ハンドラー資格取得。トリミングサロン、動物病院、個人店経営の経験後、現在は母校の専門学校で運営の手伝いをしながら、記事を制作。18歳の息子をもつシングルマザー。