コーギーの愛らしい後ろ姿や、ふさふさの被毛は多くの飼い主さんを魅了しています。しかし、夏が近づくと「暑さ対策のためにサマーカッをした方がいいの?」「短く切りすぎて大丈夫?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、コーギーのサマーカットについて、メリット・デメリット、適切なカット方法やアフターケア、そしてカットに頼らない暑さ対策まで、専門家の見解と実体験を交えて、解説していきます。
コーギーの被毛とサマーカットの基本
まずは、コーギーの被毛の仕組みを知ることが大切です。どんな役割を持っていて、なぜ過度なカットが心配されるのか。コーギーの毛について正しく理解することで、夏の過ごし方が見えてきます。
コーギーは「ダブルコート」と呼ばれる、アンダーコート(下毛)とオーバーコート(上毛)の二層構造の被毛を持っています。アンダーコートはふわふわとして密集しており、体温調節や紫外線防止の役割を担っています。一方で、オーバーコートはやや硬めで、水や汚れをはじくバリアのような役割があります。
この2層構造は、季節ごとに自然と毛が生え変わる仕組み(換毛)で調整されており、極端なカットはかえって体温調節を妨げる可能性もあるのです。
しかし、日本の夏は湿度が高く、コーギーにとっては過酷な環境。そのため「少しでも快適に過ごしてほしい」と、サマーカットを検討する飼い主さんも増えています。では、実際にどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
サマーカットのメリットとデメリット
サマーカットは、見た目をすっきりさせるだけではなく、衛生面や体調管理にも関わってきます。ただし、良かれと思って切りすぎてしまうと、思わぬトラブルに繋がることも。ここでは、両面からしっかり見ていきましょう。
1.サマーカットのメリット
サマーカットをすることで、被毛のボリュームが抑えられ、体にこもる熱が逃げやすくなります。そのため、熱中症のリスクを下げる手助けにもなります。
また、毛玉やもつれができにくくなり、毎日のブラッシングが楽になるのも嬉しいポイント。シャンプーのときも乾かしやすく、皮膚の状態がチェックしやすくなります。さらに、抜け毛が減ることでお部屋の掃除もラクになり、清潔を保ちやすくなるという実用面での利点もあります。
2.サマーカットのデメリット
一方で、注意しなければならないのが「短くしすぎる」ことによる影響です。被毛が薄くなることで、紫外線や虫刺され、ちょっとした外傷から皮膚を守れなくなる恐れがあります。
また、バリカンでアンダーコートまで刈ってしまうと、毛質が変化したり、毛が生えにくくなる「脱毛症」になることも。被毛が少なくなることで、皮膚が直接熱を受けてしまい、逆に熱中症のリスクが上がってしまう場合もあります。
サマーカットをするときは、「短くしすぎない」ことがとても大切です。オーバーコートをうまく残しながら、風通しをよくすることで、皮膚を守りつつ快適さを保つことができます。
サマーカットの正しいやり方と注意点
サマーカットを取り入れるなら、安全で負担の少ない方法を知っておきたいもの。ここでは、自宅で行う場合の注意点や、トリマーに依頼する際のポイント、カット後の皮膚ケアまでを解説します。
まず、バリカンで被毛を刈る際は、毛の長さを最低でも1〜2cm以上は残すようにしましょう。特に全身を刈り上げてしまうのではなく、体温がこもりやすい部分だけを整える「部分カット」がおすすめです。お腹や脇の下、お尻などは、通気性をよくし、清潔を保つのに効果的な部位です。
自宅でカットする場合は、バリカンの刃が熱を持ちやすいため、長時間連続で使わないこと、こまめに冷やしながら作業することが大切です。
また、胸やお腹まわりは皮膚が薄く、乳首などを傷つけやすいため、無理せずブラシやラバーブラシで丁寧にケアしてあげるとよいでしょう。
カット後は、皮膚が日差しや外気に敏感になっています。特に外出時は直射日光を避け、冷感素材の犬用ウェアを着せたり、犬専用の日焼け止めを活用するのもおすすめです。短くなった被毛をしっかり守ってあげましょう。
初めてのサマーカットで不安な場合は、トリマーさんに「部分カットだけお願いしたい」と伝えてみましょう。プロの目で愛犬の状態を見ながら、最適な提案をしてくれます。
サマーカット後のアフターケアと夏の健康管理
サマーカットをした後のコーギーは、皮膚がいつもより外気にさらされやすくなっているため、ちょっとした変化にも気を配ることが大切です。暑さだけでなく、乾燥や紫外線などからもしっかり守ってあげましょう。
サマーカットのあとは、皮膚の様子を毎日チェックします。赤みやかゆみ、乾燥などがないか、優しく観察することが大切です。もし乾燥しているようであれば、犬用の保湿スプレーやクリームを使ってあげると安心です。
また、室内の環境も重要なポイント。冷感マットやエアコン、扇風機などを使い、室温は20~25℃、湿度は50~60%を目安に保つと、愛犬が快適に過ごせます。
サマーカット後の紫外線対策には、冷感素材の犬用ウェアや犬専用の日焼け止めが効果的。特にお散歩が大好きなコーギーには、外出時の皮膚ケアを忘れずに。
サマーカット以外の暑さ対策と抜け毛ケア
サマーカットだけが暑さ対策ではありません。コーギー本来の被毛の特性を活かしながら、日常のケアで快適さを保ってあげる方法もたくさんあります。
毎日のブラッシングは、アンダーコートを無理なく取り除いてあげることができ、通気性を高めるためにもおすすめです。換毛期のブラッシングは、抜け毛対策にもなりますし、毛玉予防や皮膚の健康にもつながります。
また、室内ではエアコンやサーキュレーターを使って空気を循環させ、快適な温度と湿度をキープしましょう。真夏の昼間の散歩は避け、早朝や夕方の涼しい時間帯を選ぶのが理想的です。
肥満気味の子は体に熱がこもりやすくなるので、食事管理や適度な運動にも気をつけたいですね。散歩のときには、水分補給とクールダウンを忘れずに。濡らしたタオルや携帯スプレーで体を冷やすのも効果的です。
コーギーの豆知識
サマーカットを考えるうえで、コーギーという犬種の背景や被毛の仕組みを知ると、より納得のいくケアができるようになります。コーギーはもともとイギリスで牧羊犬として働いていた歴史があり、その厚い被毛は寒さから身を守るだけでなく、夏場の直射日光や虫刺されからも皮膚を守ってきました。
そのため、被毛を極端に短くしてしまうと、かえって皮膚がダメージを受けやすくなるという“逆効果”が生じることもあるのです。また、エアコンの効いた快適な室内で暮らしている現代のコーギーたちは、自然な換毛がスムーズに進まないことがあります。
季節を感じにくくなることで、毛の生え変わりサイクルが乱れ、夏でもモフモフな状態が続く子も増えています。こうした場合には、こまめなブラッシングで抜け毛を取り除いてあげることが、通気性の確保にもつながります。
換毛期には「ブラッシング+部分カット」の組み合わせがおすすめ。熱がこもりやすいお尻やお腹、脇の下を中心に短めに整えて、あとはブラッシングで快適さをキープしましょう。
サマーカットの失敗例
サマーカットは、やり方を間違えるとトラブルにつながることもあります。実際にあった失敗例をもとに、注意点をおさえておきましょう。よくある失敗例として、「短くしすぎて毛が生えてこなくなった」「皮膚が赤くただれてしまった」「虫刺されが増えた」といった声があります。
特にシニア犬や皮膚が敏感なコーギーは、カット後のダメージが大きくなりやすいため、事前にトリマーや獣医師としっかり相談してから判断するのが安心です。
自宅でカットする場合は、犬が落ち着いた状態で行うことが大切です。無理に動かすとケガをしてしまう恐れがあるため、できるだけリラックスできる時間帯を選び、休憩を挟みながら少しずつ進めましょう。バリカンの刃は熱を持ちやすいので、こまめに確認しながら作業するようにしてください。
まとめ
コーギーのサマーカットは、暑さ対策として一定の効果が期待できますが、やり方を誤ると皮膚トラブルや被毛のダメージにつながってしまいます。
ダブルコートという被毛の構造を理解し、短くしすぎない「部分カット」や、毎日のブラッシング、冷感マットや犬用ウェアなどを上手に取り入れながら、総合的な暑さ対策を心がけましょう。
もし迷ったときは、信頼できるトリマーや獣医師に相談するのが一番です。愛犬の個性や体質に合った方法を見つけて、夏を快適に乗り切れるよう、優しく丁寧なケアを続けてあげてください。最後までお読みいただきありがとうございました☺