【ビションフリーゼ】のトリミングテクニック!“5つの”カットポイントが魅力を引き出す?

トイプードルの人気の裏に、実は根強いファンがいる「ビションフリーゼ」という犬種をご存知ですか?犬種を聞いてもピンとこない人は、アフロ犬と聞くと「あー」となんとなく想像ができるかもしれません。

今回は丸っこくて、とても愛らしい「ビションフリーゼ」のトリミングのコツを、図で表しながら現役トリマーがお伝えしていきます。

ビションフリーゼの歴史

アフリカ大陸に面した大西洋上に浮かぶスペイン・カナリア諸島の土着犬を、16世紀頃フランスで小型化したことからビションフリーゼが誕生しました。さらに、その容姿からマルチーズやプードルの影響を受け、貴婦人の間で白い抱き犬として流行りました。

ビションとは、「飾る」、フリーゼは「縮れた毛」という意味のフランス語で、もじゃもじゃの巻き毛に飾られた犬としてフランス国内で愛されました。

1900年代の後半に米国で独創的なカットが開発され、これに工夫が加えられ、現在のショー・カットとなって世界的な流行犬種となったのです。

ビションフリーゼの特色

ビションフリーゼには、ベーシックな以下の特色があります。

  • 特徴・性格:動きの軽快な歩様の、快活で陽気な小型犬。
  • サイズ:体高上限30センチ(小型であることが好ましい)。
  • 被毛・毛色見事な絹糸状で、平らでも縄状でもなく7~10センチの長さがある。 足とマズルを含めてグルーミングで整えられていなくてはならない。毛色は純白被毛の下のピグメンテーション(色素の沈着状態)はダークであるのが好ましい
  • 外貌中くらいの長さのマズルを持ち、被毛は長く、モンゴルのヤギの被毛によく似た、とてもゆるいコークスクリュー状の巻き毛をしている。 頭部は誇らしげに高く掲げ、目はダークで、活き活きとし、表情に富む

参照:【JAPAN KENNEL CLUB】-最新犬種図鑑-写真で見る犬種とスタンダード-

ひろこ

ビションフリーゼには、このような特色があるのですね。

ビションフリーゼの基本のかたち

ビションフリーゼの骨格に合わせて、基本のかたちが決められています。犬体の持つ自然なラインを生かしながら、全体に丸みを持たせ、トリミングテーブル上における「」と歩様時の「」が一致するトリミングを目指します。

プードルのような強いアンギュレーションはつけない。ベーシックが一番大切ですが、すべてはベイジング、ドライングで決まります。

ビションフリーゼの被毛

ビションフリーゼの被毛は、硬い毛と柔らかい毛が混じって生えているダブル・コートです。ボディーはパウダー・パフのような毛質で、耳と尾の毛はシルキーです。ボディーや頭の毛は開立しますが、耳と尾の毛は毛に厚みがあっても開立しません。

ビションフリーゼのトリミング 

【おさえたい5つのポイント】

ベイジングとドライングを終えたら、いざカットに入ります。ビションのカットには、おさえておきたい「5つのトリミングポイント」があります。下記の図を御覧ください。

  1. アイライン、イマジナリーラインをどのように作るかで、ビション・フリーゼの魅力が決まる
  2. 耳の後ろの毛を切りすぎない
  3. 中躯下の空間の面積を小さくすると、全体をコンパクトに見せることができる
  4. ぷりっとした大きなお尻は、ビション・フリーゼらしさをアピールできる部分
  5. 四肢の足先は太く、丸く見えるように仕上げる

5つのポイントを頭に入れながら、トリミングをしていきます。

顔カットの基本

まずは、顔のカットからお伝えします。

ステップ1

頭部を前望したとき、鼻を中心とした丸形に作り、両目と鼻を結んだラインは逆三角形になります。

上望したとき、マズルとスカルの長さの比率が3対5になり、両目と鼻をつなぐと逆三角形に見えます。

頭部上望はこんな感じです↓

ステップ2

側望して、鼻梁と頭頂部は平行、鼻梁の高さを境に上下の長さが等しい円になるようにします。犬が気配や物音に集中して緊張したときに、イヤーフリンジの先端のラインが下顎のラインとつながり、頭部全体が丸く見えるようにカットします。↓

ステップ3

マズルにハサミの静刃をおいて安定させ、目頭の下の毛(涙やけを起こす部分)を三角形に短くカットします。ビションは真っ黒な瞳が顔の奥のほうからみえるようにするのが理想。

両目頭の間は、マズルと直角にハサミをあて、ストップにぶつかるところまで進めます。刃先をストップに向けて入れると切りすぎるので注意。鼻梁の毛をセンターから左右に分け、はねている毛も切ります。

ステップ4

目の上の毛を、まぶたの分だけ前方にときだしたら、目頭から目尻に向けてハサミを手前に引きながらカットし、アイラインをだします。上望時に、両目頭の間のラインがゆるいU字形になるように作ります。

ステップ5

スウェルはマズルの半分の長さを目安に、側望して鼻梁に対して垂直にカット。コーミングとカットを繰り返し、最終的に耳の付け根の前側あたりの毛までを前方に出して作業します。

スウェルの角を落としていき、目元の立ち上がりをゆるやかなカーブにします。↓

ステップ6

頭部のカットは大きな円をイメージし進め、耳をあげたときにもラインが変わらないように作ります。

前望時、鼻を中心に頭部を大きな円になるように仕上げます。↓

ステップ7

バランスを見て、下顎の長さを決めたらテーブル面と平行にカット。円の下側の長さが決まったので、鼻が中心になるよう頭頂部と顔の両サイドをカットします。

サイドは耳の上に毛がのるため、最終的にはラインが沈みます。それを想定して、切りすぎないように気をつけましょう。大きさが決まったら、最終的に大きな円になるように進めていきます。

ステップ8

側望して、鼻梁を境に上側と下側の長さが等しくなる大きさで円を作ります。オクシパットから45度の角度をとり、その延長上に後頭部の頂点を作ります。そこより前方を頭部、後方を首とします。

頭頂部から後頭部に向けて丸くカットしていきます。↓

ステップ9

下顎から後頭部の頂点に向かって丸くします。耳の後ろにある毛をカットして、頭部とボディとの境目をはっきりさせると、側望時に頭部を丸く見せることができます。

ステップ10

耳に位置が変わっても顔の円形は変わらないようにします。犬が耳を上げたときに前望して頭部の円から耳が飛び出して見えてはいけません。

顎から後頭部に向けて、毛流れと平行にハサミを入れ、浮いている毛をそぐように整えます。丸く見せるため、浮いてる毛はカットしていきます。

ステップ11

喉の部分は、犬の顎をあげて片手で保定し、段が入らないようにハサミを皮膚と平行にあててカットします。

ボディカットの基本

次に体のカットです。

ステップ1

体長は体高の4分の1長いバランスです。胸は発達していて深く、胸骨が目立っているのが理想です。↓

ステップ2

肩甲骨に向けて、前胸との角を落とすようにカットし、丸みを出します。上腕骨から前肢の付け根に向かって、上腕骨の角度で前胸との角を落とします。

ステップ3

肩から前肢がつながって見えるように作ると、前肢を長く見せることができます。前肢を前にだした歩様のポーズにして、前肢の付け根の位置とラインを確認するといいでしょう。

ステップ4

足先は、テーブルに届く毛をテーブル面と平行にカットし、大きな円になるように作ります。切り上げすぎると、足先が小さくなり前肢が細くなるので気をつけましょう。

ステップ5

前肢は前望、側望したときに太い円柱に見えるようにします。前側の付け根を整える際は、胸と前肢の間に段差が入りやすいので注意。外側は肩から前肢に向けてまっすぐつなげます。

ステップ6

胸が深く、自由に運動しているように見せるため、腰を幅広く平らに作ります。ボディと尾の毛を分け、尾の付け根の前側からラストリブの真上まで皮膚が見えない程度の毛の長さで、テーブル面と平行にカットします。

ステップ7

肛門にかぶさる毛を処理したら、腰幅と尾の付け根から睾丸・陰部までの長さをほぼ同じにするイメージで尻部を大きく作ります。尾の付け根から坐骨端に向けて、寛骨の角度(45度)でカット。

ステップ8

坐骨端のあたりを、側望してテーブル面と垂直にします。皮膚が見えない程度にギリギリまで毛を短くします。飛節に沿うようにハサミを置いてカットし、ハサミの角度を変えて膝の裏に向けて切ります。

アンギュレーションのある低い飛節を表現します。飛節部分の毛を切ったら、膝裏に向けてアーチするようにカットします。

ステップ9

尾の付け根から内股までが尻の厚みになります。刃先を下方に向けて、睾丸・陰部の先端に向けてカット。作業済みの坐骨端および膝下のラインをつなげます。尻部は前胸部との大きさのバランスを考えて作りましょう。

ステップ10

後足は前足と同様、大きな円に。飛節より下方はテーブル面と垂直にします。低い飛節が理想ですが、低すぎると全体のバランスが重く見えてしまうので気をつけましょう。

ステップ11

タックアップの位置は、オスは陰茎の先端あたりに、メスはラスト・リブの真下あたりに頂点を設定するといいでしょう。

そこから、肘の少し下の位置に向けてアンダー・ラインを作ると、ボディーをコンパクトに見せることができます。アンダー・ラインをテーブル面と平行にしたり、肘を露出させたりしないように。

ステップ12

タックアップから膝に向けては、やや垂直に近いラインのイメージでカットし、足先へと自然なラインでつなぎます。力強さを表現するため、やや太めにします。

ステップ13

犬の持つ助骨の角度に合わせて、ボディーのサイドとアンダーラインとの角を落としたら、上望時にタックアップが少しくびれて見えるように作ります。

ステップ14

ネックのトップ・ラインは側望して富士山の尾根をイメージして作ります。長くて、肩に向けて太くなるのが理想。ハサミを背骨に対して直角に入れて進めます。キ甲に刃先を向けないように。

ステップ15

腹部のクリッピング・ラインに向けて毛をとき出し、かぶさる毛をカットします。尾軸が背につきそうでつかない位置にセットし、キ甲の長さで尾の毛をそろえます。

長くなりましたが、これでビションフリーゼのベーシックカットが完成です!!

参照:最新、ドッググルーミングマニュアル 公認トリマー教本(一般社団法人 ジャパンケネル クラブ)

まとめ

今回は、ビションフリーゼのトリミングのコツを解説しました。トイプードルとはまた違い、胴長で足が短いカットの仕方ですよね。長くなりましたが、ステップを踏んでお伝えしました。

読むだけではいまいちイメージがつかないと思いますので、ぜひ実践しながら練習してみてくださいね。ビションフリーゼは、韓国ですごい人気ですよね。デザインカットがしやすく、耳を短くして顔を丸くするのが流行ですかね。

ベーシックの形を崩さず、全体的に丸く仕上げると愛くるしい印象になりますね。歴が長くなると、基礎を忘れがちですが、この記事を読んで参考にしていただけると幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

トリマー ひろこ

大学卒業後、有名作家のもとでアシンスタントとして勤仕。数年後、昔から夢だったトリマーを目指し専門学校に入学。JKC資格取得。現在はトリミングサロンで働きながら記事を制作。一児のシングルマザー。