犬を飼っていると避けて通れないのが「トイレの失敗」。せっかく覚えたと思っていたのに、突然失敗が増えた…。そんな悩みを抱えていませんか?実は、犬がトイレを失敗する背景には、飼い主さんが気づきにくい“深い理由”があるのです。
今回の記事では、「犬がトイレを失敗する理由」や「トイレトレーニングの成功のコツ」、「成犬や老犬への対応方法」まで、現役の犬の専門家やトレーナーの視点を踏まえながら徹底解説します。
犬がトイレを失敗する3つの原因
犬がトイレを失敗してしまうと、「どうして?」「ちゃんと覚えてくれない…」と悩む飼い主さんも多いはず。でも実は、失敗の裏には犬なりの理由があるんです。ここでは、犬がトイレをうまくできない代表的な原因と、その対処法をわかりやすく解説します。
1. 環境が適切でない
まず見直したいのは、犬にとっての「トイレ環境」です。犬はとても繊細な動物。人間にとっては些細に見えることでも、犬にとってはトイレを我慢する理由になります。
よくある環境上の問題
- トイレの場所が遠すぎる、見えにくい
- トイレの周りが騒がしい、落ち着かない
- 寝床とトイレが近すぎて混乱している
- ペットシーツが汚れていて不快
トイレは犬がすぐ行ける静かな場所に設置し、いつも清潔に保ちましょう。犬は意外と“きれい好き”。汚れたトイレでは排泄しないことも多いです。
2. トレーニング不足や教え方の問題
トイレのしつけは時間と根気が必要です。特に子犬期は、「今、出したい!」という衝動が強く、適切な場所に間に合わないこともよくあります。
失敗を招くトレーニング例
- 排泄後すぐに褒めていない
- 飼い主の声かけや誘導に一貫性がない
- トイレに成功しても無反応
排泄のタイミング(寝起き・食後・遊んだ後など)を見逃さず、必ず成功の直後に褒めましょう。
3. ストレス・環境変化による混乱
「昨日までは完璧だったのに、突然失敗が続く…」そんな時は、犬の生活環境に変化がなかったかをチェックしてみてください。
ストレスの原因になりやすい変化
- 引っ越しや模様替え
- 家族の増減(赤ちゃんや新しいペットなど)
- 騒音(工事、雷、来客の多さなど)
- 留守番の時間が長くなった
ストレスを感じた犬は“行動で訴える”ことがあります。トイレの失敗もその一つ。愛犬の変化に気づく「観察力」もトイレトレーニング成功には重要です。
犬のトイレの失敗には、環境、しつけ、ストレスなどさまざまな要因が絡んでいます。でも、「うまくいかないのはダメな子だから」ではありません。飼い主さんの気づきとちょっとした工夫で、必ず改善に向かっていきます。焦らず、怒らず、一緒にステップアップしていく気持ちで向き合ってあげましょう。
トイレの失敗の対処法
犬との暮らしの中で、トイレの失敗は誰にでも起こり得るものです。しかしそのときの飼い主の対応次第で、愛犬の今後のトイレ習慣に大きな影響を与えてしまうこともあります。ここでは、失敗したときにどう対応すべきかを、ポイントを押さえて解説します。
1. 絶対に叱らないこと
トイレの失敗を見つけたとき、つい「ダメ!」と声を荒げてしまいたくなる気持ちはわかります。しかし、ここで叱ってしまうと逆効果になることが多いのです。
犬は「排泄したこと自体が悪かった」と勘違いしてしまい、今後、飼い主さんの見ていないところで隠れて排泄するようになったり、我慢してしまって健康に悪影響を及ぼすこともあります。
また、すでに排泄を終えたあとで叱っても、犬にはその叱られた理由が伝わりません。時間が経ってから叱ることは、犬にとってはただ「飼い主が突然怒り出した」としか認識できないため、信頼関係を損なう原因にもなってしまいます。
正しい対処法
・無言で片付ける
・失敗の直後でなければ叱らない
・原因を冷静に分析し、環境やタイミングを調整する
2. 匂い残りを完全除去
犬のトイレトレーニングにおいて、匂いの管理は非常に重要なポイントです。犬は人間よりも何倍も優れた嗅覚を持っており、自分の排泄物のにおいを頼りに「ここはトイレだ」と覚えていきます。
そのため、トイレ以外の場所で失敗したときに匂いをしっかり消さないと、「この場所でもOK」と学習してしまうリスクがあります。特にカーペットやフローリングの継ぎ目など、匂いが残りやすい素材の場合は要注意です。見た目にはきれいに拭いたつもりでも、犬には残り香がしっかり届いています。
掃除のポイント
・専用のペット用消臭スプレーを使う
・アルコールや酢などの人間用はNG
・見た目の汚れだけでなく、“におい”に注目する
このように、トイレの失敗時の対応は、感情にまかせず「冷静・無言・原因分析」の姿勢が何よりも大切です。そして、次に失敗させないための環境づくりと匂い管理をしっかり行うことで、犬も飼い主さんも安心して過ごせるようになります。
成犬・老犬へのトイレトレーニング
「トイレのしつけは子犬のうちだけ」と思っていませんか?実は、成犬や老犬でも工夫次第でしつけ直しは十分に可能です。ここでは、年齢に応じたトイレトレーニングの方法を紹介します。
1. 成犬でもやり直せる
成犬になると「もう無理かも…」と感じる飼い主さんも多いですが、実は落ち着きが出てくる分、トイレの再トレーニングがスムーズに進むケースもあります。大切なのは、焦らず基本に立ち返ることです。
成犬トレーニングのコツ
- サークル生活に戻す
トイレとベッドだけを置いたシンプルな空間にすることで、排泄場所を明確にします。 - 排泄のタイミングを記録する
朝・食後・散歩後などのパターンを把握すれば、声かけや誘導のタイミングがつかみやすくなります。 - 成功したら褒めてご褒美
トイレ直後にしっかり褒め、ご褒美を与えることで「ここでしていいんだ」と理解が進みます。
失敗が続いても叱らず、ゆっくり根気強く続けることが大切です。
2. 老犬には体調への配慮を
シニア期に入った犬のトイレの失敗は、筋力や認知機能の低下が原因であることが多く、しつけというよりも“自然な変化”と受け止める必要があります。
認知症の影響でトイレの場所を忘れるケースもあります。こうしたときは叱るのではなく、優しい介護の気持ちでサポートするのが正解です。
老犬におすすめの対策
1.ペット用おむつやマナーベルトを使う
夜間や外出時など、失敗が予想される場面で活用しましょう。
2.トイレの回数を増やす
排泄のコントロールが難しくなるため、こまめに誘導することが大切です。
3.足腰にやさしいトイレシートを選ぶ
滑りにくくクッション性のあるシートは、シニア犬にも安心です。
トイレの失敗は、飼い主さんが見直すべきポイントや、愛犬が出しているSOSのサインかもしれません。年齢や状況に合わせた柔軟な対応が、愛犬の生活の質を高め、飼い主さんの心のゆとりにもつながります。
老犬のトイレの失敗は、本人も戸惑っていることがあります。「責めない」「安心させる」ことが何よりも大切です。
トイレトレーニングの意外なNG習慣3選
一見よかれと思ってやっていることでも、実はトイレトレーニングを遠回りさせてしまっているかもしれません。ここでは、多くの飼い主さんがやりがちな3つのNG習慣をご紹介します。思い当たる節があれば、今日から少しずつ見直してみましょう。
1. 「失敗の瞬間」を見ていないのに叱る
トイレのあとに床を見つけて「また失敗してる!」とつい叱ってしまっていませんか?
NGポイントと理由
- 犬は「何を叱られているのか」を数分後には理解できません。
- 失敗して時間が経ってから怒られても、「排泄=ダメ」と誤認し、トイレを我慢するようになってしまうことも。
- 結果的に、飼い主への不信感やストレスだけが残ってしまいます。
→ 正しい対応は?
失敗を見つけたときは、黙って片付けましょう。そして次の成功のチャンスに備えて、声かけ・タイミングの調整・観察を徹底しましょう。
2. トイレ成功後のご褒美が遅い
「トイレできたね!えらいね~」と褒めたつもりでも、それが数分後では効果半減です。
NGポイントと理由
- 犬は「ご褒美」と「行動」をセットで覚えます。
- ご褒美や褒め言葉が遅れると、「何に対して褒められているのか」がわからず、学習に繋がりません。
- 褒めるタイミングがズレると、逆に他の行動と関連づけてしまう恐れも。
→ 正しい対応は?
排泄が終わった直後にその場で褒め、ご褒美を与えるのが鉄則です。「ここでする=いいことがある」と思わせるのが、トレーニング成功のカギです。
3. トイレ場所を何度も変える
おしゃれなトイレマットや新しい場所に変えてみたけど…なんだか失敗が増えてきた?
NGポイントと理由
- 犬は**“におい記憶”で場所を覚える**動物です。
- 頻繁にトイレの場所を変えてしまうと、どこでしてよいのかわからなくなり、混乱してしまいます。
- 結果的に別の場所で排泄したり、我慢するようになったりすることも。
→ 正しい対応は?
できる限りトイレの場所は固定しましょう。
模様替えや引っ越しの際は、以前使っていたトイレシートの一部を新しい場所に置いて、においで“ここがトイレ”だと再認識させる工夫が有効です。
これらのNG行動は、飼い主さんに悪気がなくても起こりがちです。トイレトレーニングで一番大切なのは「犬の立場で考えること」。
愛犬の気持ちを想像しながら、安心して排泄できる環境づくりを心がけましょう。
まとめ
犬がトイレを失敗する=ダメな子、ではありません。これは単なる問題行動ではなく、**何かを伝えたい“サイン”**であり、しつけを見直す“チャンス”でもあるのです。
犬は言葉を話せない代わりに、行動で多くのことを伝えてきます。たとえば、「トイレの場所がわかりづらい」「時間的に我慢できなかった」「不安やストレスを感じていた」など、そこには必ず理由があります。失敗を叱るのではなく、「どうしてこうなったのかな?」と優しく観察する姿勢がとても大切です。
焦らず、怒らず、そして「できた!」をしっかり褒めてあげることが成功への近道です。犬は飼い主さんの喜ぶ顔が大好き。成功体験を積み重ねていくことで、自信を持ってトイレに向かうようになります。最後までお読みいただきありがとうございました☺