ふわふわとした被毛が魅力のポメラニアン。その見た目を保つためには、ただ可愛く整えるだけでなく、被毛の構造や性質を正しく理解したトリミングが欠かせません。間違ったケアをしてしまうと、毛が生えなくなったり、ゴワゴワとした毛質に変わってしまうこともあるのです。
今回の記事では、ポメラニアンの被毛を守りながら、美しく整えるための正しいトリミング知識とお手入れのコツを紹介します。

ポメラニアンの被毛構造を理解しよう
ポメラニアンの被毛は「ダブルコート」と呼ばれる二層構造でできています。外側の「オーバーコート」は硬く長い毛で、紫外線や汚れを防ぐ役割があります。一方、内側の「アンダーコート」は柔らかく密集しており、保温性と通気性を保つ重要な機能を持っています。
この二重構造が、あのボリューム感とふんわり感を生み出しているのです。しかし、被毛の仕組みを理解せずにトリミングしてしまうと、毛の機能が損なわれてしまうことがあります。特にアンダーコートをバリカンで刈り取ると、毛が再生しにくくなり、取り返しのつかない結果を招くこともあります。
バリカンでの刈り込みは絶対にNG
「夏は暑そうだから」「毛玉ができやすいから」という理由で短く刈り込む方もいますが、これは大きなリスクです。ポメラニアンのような北方系の犬種にバリカンを使うと、「コートファンク」や「脱毛症X」と呼ばれる症状を引き起こすことがあります。毛が二度と生えそろわなかったり、チリチリの毛になってしまうこともあるのです。
また、被毛を短くしすぎることで紫外線が皮膚に直接当たり、日焼けや乾燥、熱中症の危険も高まります。ポメラニアンの被毛は断熱材のような役割を持っており、夏でも毛を残す方が快適に過ごせます。暑さ対策をするなら、ブラッシングで通気性をよくし、皮膚を清潔に保つことが最善です。

もしすでに短くしてしまった場合は、被毛が回復するまで次の点に注意しましょう。
- 直射日光を避けて散歩する(早朝や夕方がおすすめ)
- 洋服を着せて皮膚を保護する
- 良質なたんぱく質とオメガ3脂肪酸を含む食事・サプリで内側からケアする
換毛期のお手入れで差がつく!
ポメラニアンは春と秋の年2回、換毛期を迎えます。この時期にはアンダーコートがごっそり抜け落ちるため、ブラッシングを怠ると毛玉や蒸れが発生しやすくなります。皮膚炎を防ぐためにも、換毛期のケアは念入りに行いましょう。
ブラッシングは「スリッカーブラシで抜け毛を取り除く → コームで整える」という流れが基本です。特に毛玉ができやすい耳の後ろ、脇の下、内股は丁寧にブラッシングしましょう。力を入れすぎると皮膚を傷つけてしまうので、優しくほぐすことが大切です。

乾いた状態でのブラッシングは静電気が起きやすく、毛が絡まる原因になります。そこでおすすめなのが、ブラッシングスプレーの活用です。
- 静電気を防ぎ、ブラシの通りを良くする
- 毛にツヤと柔らかさを与える
- 保湿成分配合のものは皮膚トラブル予防にも◎
日常的にスプレーを取り入れることで、毛質の維持とツヤ感アップが期待できます。

トリマーによる具体的な工夫
トリマーは、ポメラニアン本来のふんわりとした魅力を生かすため、細やかな工夫が行われています。カットは全体的に長めに残し、丸みを重視したスタイルに整えるのが基本です。
輪郭だけを軽く整えることで、ボリューム感を損なわず、自然な立体感を演出します。特に注意したいのが、各部位のケア方法です。トリマーたちは次のようなポイントを意識しています。
- 足裏や肛門まわりは衛生面を考慮し、バリカンを使用(それ以外は被毛へのダメージを避けるためハサミで仕上げる)
- 顔まわりはイメージ写真を見せながら飼い主と相談し、柔らかく自然なラインに整える
- 換毛期には保湿スプレーや加湿器を活用して毛玉や静電気を防ぎ、丁寧にブラッシングする
また、皮膚に赤みや異常が見られた場合には、早めに皮膚科や獣医師と連携し、トラブルを未然に防ぐ体制も整えられています。さらに、生後数か月の「猿期」と呼ばれる一時的な脱毛期には、トリマーが毛質の変化を見極めながら、成長に合わせたケア方法を飼い主に丁寧にアドバイスしてくれます。
まとめ
ポメラニアンの被毛は、見た目の美しさと健康の両方を守る大切な要素です。バリカンでの刈り込みは避け、日々のブラッシングや保湿ケアで美しい毛を維持しましょう。
そして、信頼できるトリマーと協力しながら、愛犬の魅力を最大限に引き出すことが大切です。正しい知識と丁寧なお手入れで、いつまでもふんわりとした理想のポメラニアンを保ってあげてくださいね。最後までお読みいただきありがとうございました☺




