トリミングから帰ってきた愛犬が、おしりを床にこすりつけながら歩いている…。そんな姿を見て心配になったことはありませんか?実はトリミング後のおしり歩き(スクーティング)には、いくつかの原因があります。
今回の記事では、トリミング後に犬がおしり歩きをする理由から、正しい対処法、病院に行くべきサインまで詳しく解説します。愛犬の不快感を取り除いて、快適に過ごせるようサポートしましょう!

おしり歩き(スクーティング)とは?
まずは、おしり歩きがどんな行動なのか基本を押さえておきましょう。
1.どんな行動?
おしり歩きとは、犬がおしりを床にこすりつけながら前足で引きずるように進む行動のことです。英語では「スクーティング(Scooting)」と呼ばれています。座った状態から前足だけで進む独特の姿勢なので、一度見たら忘れられない行動です。
2.なぜこんな行動をするの?
犬がおしり歩きをするのは、肛門周りに不快感や違和感、かゆみ、痛みなどを感じているからです。人間が届かない場所がかゆい時に壁や柱にこすりつけるのと同じで、犬は床にこすりつけることで不快感を解消しようとしています。
3.普段からすることもある
トリミング後だけでなく、日常的におしり歩きをする犬もいます。ただし、トリミング後に急に始めた場合は、トリミングに関連した原因がある可能性が高いです。

おしり歩きを見たら、まずはおしり周りをチェック!肛門周りが赤くなっていないか、腫れていないか、毛が絡まっていないかなど、異常がないか確認しましょう。見た目で分かる問題があれば、すぐに対処できますよ。
トリミング後におしり歩きする主な原因
トリミング後に特有の原因を詳しく見ていきましょう。ほとんどの場合、以下のいずれかが原因です。
1.肛門周りの毛のカットによる違和感
トリミングでおしり周りの毛を短くカットすると、今までと感覚が違って違和感を感じることがあります。特に初めてのトリミングや、いつもより短くカットした時に起こりやすいです。毛がなくなった部分が敏感になり、ムズムズするような感覚があるのかもしれません。
2.バリカン負けや皮膚の刺激
肛門周りは皮膚が薄くデリケートな部分。バリカンで刈った際に、皮膚が軽く傷ついたり、刺激を受けたりすることがあります。これを「バリカン負け」といい、赤みやヒリヒリ感を引き起こします。特に皮膚が敏感な犬や、バリカンの刃が古い場合に起こりやすいです。
3.肛門腺の刺激
トリミング時には肛門腺絞りが行われることが多いです。この処置は必要なものですが、その後に若干の違和感や刺激が残ることがあります。また、肛門腺絞りが不十分だったり、逆に強く絞りすぎたりした場合も、不快感の原因になることがあります。
4.シャンプー剤の残り
シャンプーやリンスの成分が肛門周りに残っていると、かゆみや刺激の原因になります。特に皮膚が敏感な犬では、わずかな残留でも反応してしまうことがあります。
5.切った毛が付着している
カットした細かい毛が肛門周りに残っていて、それがチクチクして不快感を与えることもあります。トリミング後のブローや拭き取りが不十分だと、この状態になりやすいです。

トリミングから帰ったら、ぬるま湯で絞った柔らかいタオルで、優しくおしり周りを拭いてあげましょう。残った毛やシャンプー剤を取り除けて、不快感が和らぐことが多いですよ。ゴシゴシこすらず、ポンポンと優しく拭くのがコツです!
症状別の対処法
おしり歩きの原因によって、適切な対処法が変わります。状況に応じた対応を取りましょう。
1.軽い違和感の場合
🐶様子を見る
トリミング後の一時的な違和感であれば、通常1〜2日で落ち着きます。おしり歩きの回数が少なく、元気で食欲もある場合は、しばらく様子を見ても大丈夫です。
🐶おしり周りを清潔に保つ
ぬるま湯で湿らせたタオルで、1日2〜3回優しく拭いてあげましょう。清潔に保つことで、刺激や違和感を軽減できます。
2.バリカン負けの場合
🐶冷やす
軽い赤みやヒリヒリ感がある場合は、保冷剤をタオルで包んで優しく当てると、炎症を抑えられます。ただし、直接当てたり、長時間当てすぎたりしないよう注意してください。
🐶獣医師に相談
赤みが強い、出血している、ひどく痛がるなどの症状があれば、動物病院を受診しましょう。塗り薬や飲み薬が処方されることもあります。
3.肛門腺の問題の場合
肛門腺絞りが不十分で、まだ分泌物が残っている可能性があります。この場合は、動物病院でもう一度絞ってもらうと改善します。自宅で絞ることもできますが、慣れていないと難しいので、獣医師に相談するのが安全です。
4.シャンプー剤が残っている場合
ぬるま湯でしっかりすすぎましょう。シャワーがあれば、弱い水圧で肛門周りを優しく洗い流すのも効果的です。その後はタオルでしっかり水分を拭き取ってください。
5.切った毛が付着している場合
固く絞ったタオルで、毛の流れに沿って優しく拭き取ります。コームやブラシで梳いて、細かい毛を取り除くのも良いです。
トリマーへの伝え方
次回のトリミング時に同じことが起こらないよう、トリマーさんに伝えることも大切です。
1.具体的に症状を伝える
「トリミング後におしり歩きをしました」と具体的に伝えましょう。いつから、どのくらいの頻度で、何日間続いたかなども伝えると、トリマーさんが原因を特定しやすくなります。
2.カット方法の調整をお願いする
「おしり周りは少し長めに残してください」「バリカンではなくハサミでカットしてください」など、具体的な希望を伝えましょう。皮膚が敏感な犬の場合は、その旨も伝えてくださいね。
3.肛門腺絞りについて相談
肛門腺絞りが原因だった場合は、「少し優しくお願いします」「痛がらない程度にお願いします」と伝えると良いです。逆に不十分だった場合は、「しっかり絞ってください」と伝えましょう。
4.すすぎの徹底をお願いする
「シャンプーをしっかり洗い流してください」「皮膚が敏感なので、すすぎを念入りにお願いします」と伝えると、より丁寧に対応してもらえますよ。

トリミング後の写真や動画を撮っておくと、次回のオーダー時に役立ちます。「前回、おしり周りをこのくらいにしたら問題が出たので、今回は少し長めで」と具体的に伝えられますよ

病院に行くべきサイン
以下の症状が見られたら、自宅での対処だけでなく、動物病院を受診しましょう。
1.症状が3日以上続く
軽い違和感なら1〜2日で治まることがほとんど。3日以上続く場合は、別の問題がある可能性があります。
2.頻繁におしり歩きをする
1日に何度も繰り返す、止めてもすぐにまた始めるなど、明らかに不快感が強い場合は受診が必要です。
3.肛門周りの異常
赤く腫れている、出血している、膿が出ている、悪臭がするなどの症状があれば、炎症や感染の可能性があります。早めの受診が大切です。
4.おしりを舐め続ける
おしり歩きに加えて、執拗におしりを舐める行動が見られる場合は、強い不快感や痛みがあるサインです。
5.元気がない・食欲不振
おしりの不快感だけでなく、全身状態が悪い場合は、より深刻な問題があるかもしれません。すぐに受診してください。
6.便に異常がある
血便、下痢、便秘などが同時に起こっている場合は、消化器系のトラブルの可能性もあります。
予防のためにできること
トリミング後のおしり歩きを予防するために、日頃からできることがあります。
1.信頼できるトリマーさんを見つける
技術力があり、丁寧に対応してくれるトリマーさんを見つけることが最も大切です。口コミを参考にしたり、実際に見学させてもらったりして、安心して任せられるサロンを選びましょう。
2.皮膚の状態を伝える
「皮膚が敏感です」「以前バリカン負けしたことがあります」など、愛犬の体質をしっかり伝えましょう。トリマーさんも配慮して対応してくれますよ。
3.定期的な肛門腺ケア
肛門腺は定期的に絞る必要があります。トリミング時だけでなく、月に1回程度、動物病院で絞ってもらうのも良いですね。溜まりにくい体質の子もいるので、獣医師に相談してみましょう。
4.自宅でのケア
トリミングの間隔が長い場合は、自宅でおしり周りの部分カットをするのも効果的です。清潔を保ちやすく、トリミング時の負担も減らせます。
まとめ
犬がトリミング後におしり歩きをする主な原因は、カットによる違和感、バリカン負け、肛門腺の刺激、シャンプー剤の残留、切った毛の付着などです。ほとんどの場合、1〜2日で自然に治まりますが、長引く場合や症状がひどい場合は動物病院を受診しましょう。
帰宅後はぬるま湯で絞ったタオルで優しくおしり周りを拭き、清潔に保つことが大切です。次回のトリミング時には、具体的な症状をトリマーに伝えて、カット方法を調整してもらいましょう。
信頼できるトリマーさんを見つけ、愛犬の体質をしっかり伝えることで、トリミング後のトラブルを予防できますよ。愛犬が快適に過ごせるよう、適切なケアをしてあげてくださいね!最後までお読みいただきありがとうございました☺



