トリミングサロンでの仕上がりを大きく左右する道具のひとつがドライヤーです。適切なドライヤーを選び、正しい使い方を実践することで、犬の美しさを最大限に引き出し、健康な被毛を維持することができます。
今回の記事では、トリミングサロンで使用されるドライヤーの種類や特徴、選び方のポイント、効果的な使い方について詳しく解説します。
トリミングサロンで使われるドライヤーの種類
トリミングサロンでは、主に以下の3種類のドライヤーが使用されています。それぞれの特徴を理解し、用途に応じて使い分けることが大切です。
- ハンドドライヤー
- スタンドドライヤー
- ホースドライヤー(ブロアー)
それぞれの特徴と使い方を見ていきましょう。
ハンドドライヤーは一般家庭でも使われるタイプで、小型犬の仕上げや細かい部分の乾燥に向いています。スタンドドライヤーは固定型で、両手を自由に使えるため中型犬以上のドライングに便利です。一方、ホースドライヤーは強い風量で素早く乾燥させることができるため、毛量の多い犬種に適しています。
ハンドドライヤーを使用する際は、常に動かし続けることが大切です。一箇所に固定したままだと、皮膚を傷める可能性があります。また、耳や目の周りは特に注意が必要です。直接風が当たらないよう、手で覆いながら乾かすのがコツです。
トリミングサロンのドライヤーの選び方
トリミングサロンでドライヤーを選ぶ際は、いくつかのポイントを押さえておくと良いでしょう。
まず、「風量調節機能」は欠かせません。犬種や毛質によって適した風量が異なるため、細かく調整できるタイプが理想的です。特にホースドライヤーは風が強すぎると犬が怖がることもあるので、段階的に調節できるものを選びましょう。
次に、「温度調節機能」も重要です。季節や犬の体調によって適切な温度は変わるため、低温から高温まで調整できるドライヤーが便利です。皮膚がデリケートな犬には、低温でじっくり乾かせる機能があると安心です。
「騒音レベル」も見逃せません。犬は大きな音が苦手な子も多いため、静音設計のドライヤーを選ぶとストレスを軽減できます。「重量や使いやすさ」もチェックしましょう。トリマーは長時間作業するため、軽くて持ちやすいデザインのものが作業の負担を減らし、効率アップにつながります。
「耐久性」も大切なポイントです。業務用として頻繁に使用するため、耐久性の高いモデルを選ぶことで長く安心して使えます。安全面にも配慮が必要です。「過熱防止機能」が付いているドライヤーなら、万が一の事故を防ぐことができます。
これらのポイントを踏まえて、自分のサロンに合ったドライヤーを選ぶようにしましょう。
トリミングサロンで使用するおすすめドライヤー3選
プロのトリマーとして、トリミングサロンで使用するのに適したドライヤーを3つご紹介します。これらは性能、使いやすさ、耐久性などを考慮して選びました。
1. パナソニック「ナノケア」EH-NA0J
このドライヤーは、プロ仕様の性能と使いやすさを兼ね備えています。
特徴
- 高浸透ナノイー技術で毛にうるおいを与える
- スマートセンシング機能で過度な熱を抑制
- 最大毎分1.6立方メートルの大風量で速乾性に優れる
- 3種類のノズル付属で様々なスタイリングに対応
トリマーにとって、犬種や毛質に合わせて温度や風量を調整できる点が魅力です。
2. イツワ商事 DUZ プレミアム ハンズフリードライヤー
両手が自由に使えるハンズフリータイプで、大型犬や長毛種のトリミングに最適です。
特徴
- 18℃・35℃・70℃の3段階温度調節
- 風速25~50m/sまでの無段階風量調整
- 3種類のアタッチメント付属
- フレキシブルホースで細部まで乾かせる
強力な風量と細かい調整が可能なため、プロのトリマーに人気の機種です。
3. ペットドライヤー ニチリ 1500N 十字脚スタンド
長年の使用に耐える耐久性と、場所を取らない設計が特徴です。
特徴
- 十字脚スタンドで省スペース
- 高い耐久性(10年以上使用可能)
- 無段階温度・風量調節
- メンテナンスが容易
狭いトリミングルームでも使いやすく、長期間使用できる点がトリマーに支持されています。
これらのドライヤーは、プロのトリマーの要求に応える性能と耐久性を備えています。サロンの規模や主な顧客の犬種に合わせて、最適なものを選んでください。
ホースドライヤーを使用する際は、犬の耳を保護することが重要です。強い風が直接耳に入ると、鼓膜を傷める可能性があります。耳を軽く押さえるか、専用のイヤーカバーを使用しましょう。また、初めて使用する場合は、弱めの設定から始めて、徐々に犬を慣れさせていくことをおすすめします。
効果的なドライヤーの使い方
トリミングサロンでドライヤーを効果的に使用するためのポイントをいくつかご紹介します。
1.シャンプー後のタオルドライ
ドライヤーを使用する前に、タオルでしっかりと水分を拭き取ります。これにより、ドライヤーの使用時間を短縮できます。
2.毛の流れに沿ったドライング
毛の流れに逆らってドライングすると、毛が絡まりやすくなります。毛の流れに沿って丁寧に乾かしましょう。
3.部位に応じた温度と風量の調整
体の部位によって、適切な温度と風量が異なります。例えば、お腹周りは比較的薄い毛が多いため、温度を低めに設定するなどの配慮が必要です。
4.ブラッシングとの併用
ドライヤーを使用しながらブラッシングすることで、毛のもつれを防ぎ、綺麗な仕上がりになります。
5.定期的な休憩
長時間のドライングは犬にとってストレスになります。適度に休憩を入れ、水分補給をさせましょう。
以上の、ポイントをおさえながらドライヤーを効果的に使用しましょう。
ドライヤー使用時の注意点
ドライヤーを使用する際は、いくつかの注意点を守りましょう。
まず、「犬の皮膚への配慮」が大切です。犬の皮膚は薄く、高温の風を当てすぎると火傷や乾燥の原因になります。特に敏感な犬には、低温で優しく乾かしましょう。
次に、「目や耳の保護」です。直接風を当てると不快に感じたり、炎症の原因になることも。耳を手で軽く押さえるなど工夫しましょう。また、「毛玉予防」も重要です。乾かしながらブラッシングすると、毛のもつれを防ぎ、仕上がりが美しくなります。
特に長毛種はこまめなケアが必要です。最後に、「犬の反応を観察すること」。ドライヤーを怖がる場合は、弱い風から始め、徐々に慣れさせましょう。嫌がるときは無理をせず、休憩を挟むのも効果的です。
ドライヤーを使用する際は、犬の表情や体の様子をよく観察することが大切です。過度のストレスや不快感を感じていないか、常に確認しながら作業を進めましょう。また、夏場は特に熱中症に注意が必要です。室温が高い日は、クーリングマットを使用したり、こまめに休憩を入れるなどの配慮が必要です。
まとめ
トリミングサロンでのドライヤー使用は、毛を乾かすだけでなく、美しい仕上がりと健康な被毛を維持する大切な工程です。適切なドライヤー選びと正しい使い方を身につけることで、より質の高いサービスをすることができます。
また、ドライヤーの性能だけでなく、トリマーの技術や経験も重要です。犬に合わせた丁寧な対応を心がけることで、飼い主さんにも喜んでもらえるトリミングが実現できます。
この記事がトリマーや愛犬家の皆さまの参考になれば幸いです。これからも愛情と技術を大切にしながら、犬たちのケアに取り組んでいきましょう。最後までお読みいただきありがとうございました☺