【獣医師が記述】愛犬に優しいトリミングサロンとは

愛犬にとって、定期的なトリミングは欠かせません。そのトリミングサロンは、どのような基準で選んでいますか?なんとなく今のところに通い続けて、なんとなくいつもと同じメニューをお願いしている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、数多くあるトリミングサロンの中から愛犬にとって適切なサロンを、「獣医師目線」で選ぶポイントをお話しします。

獣医師さとる
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獣医師のさとるです。トリミングサロンの選び方についてお答えします。

トリミングサロンの選び方

選び方1:要望や状態を、事前に確認してくれる

家で痒がっている様子があったり、耳掃除ができないなどといった悩みを抱えた飼い主様も少なくはないはずです。

トリミングサロンに行った際に、愛犬を預ける前にしっかり飼い主様の要望や悩みを聞くかどうかは欠かせないポイントです。その際に、しっかり顧客カルテ(要望や悩みの記録)を残しているかどうかも大切です。

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来店前に確認できないのは難しいところ。電話だと、その時の忙しさで本来はきちんと確認してくれるお店でも、あしらわれることもあります。

初回来店時に、きちんと聞いてくれるか見極めましょう。

選び方2:担当を選べる

トリマーの技術の上手い下手でも選びたくなるかもしれませんが、一番は「愛犬との相性のよさ」で担当を選びたいです。この選択権があるかどうかは、トリミングサロンを選ぶ際には重要なポイントです。

可能であれば、複数人のトリマーがいると、トリミングが苦手なわんちゃんをあやしたりしてくれる役割とカットを行う役割と、2人体制でやってくれるところもあるので、事故や怪我のリスクが少なく安心できます。

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トリマーとの相性はとても大切です。必ずしも技術の高いトリマーさんが良いとは限らず、相性によって大人しく施述してもらえるかはトリマーごとによって変わってきます。

試してみないと相性がわからないのは難しいところですが、現場を確認できるかなど施術後に相性がどうであったかを確認できるところを選びましょう。

選び方3:愛犬のペースに合わせてくれる

わんちゃんにも性格やペースがあります。トリマーとの相性はもちろんですが、他のわんちゃんがいると緊張したり、興奮するなど、わんちゃん同士の相性もあります。愛犬のペースに合わせてくれる条件としては、下記の通りです。

・時間的な余裕があるか
・場所のスペースがあるか
・愛犬の気を紛らわせることができるか
・取り扱う器具に長けているか

①時間的な余裕があるか

スピードを重視されているトリミングサロンでは、愛犬のペースに合わせることはできません。
愛犬にとって、負担なく早い施術は大切なポイントではありますが、愛犬のペースに合わせる時間的な余裕を持つことは事故や怪我のリスクを下げます。嫌がっているのに押さえつけてトリミングしていたり、落ち着くのを待たずにカットをしてしまうのは、事故に繋がりやすいです。
予約間隔の余裕がなかったり、素早さを売りにするトリミングサロンを見かけることもありますが、愛犬にとって良いとは言えないですね。

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お店によっては回転率を重視して、一頭にかける時間を短くしてできるだけ売り上げを高めようとするところもあります。

可能ならトリマー一人当たり、1日に何頭を施術するのか確かめましょう。

②場所のスペースはあるか

他のわんちゃんと見えないような場所で待たせたり、わんちゃん同士の性格によって場所を変えてトリミングするなど、愛犬の安心できるスペースでやってもらうことは大切です。
また、トリミングやお迎えを待つ間の待機場所として「他のわんちゃんと交流したい」「他のわんちゃんが見えないところで休みたい」など、性格によって大きく違います。待機場所のゲージなどがあるかどうかもとても大切ですね。

③気を紛らわせることができるか

トリマーさんは、カットなどの技術だけでなくわんちゃんに対する知識も豊富であることが望まれます。
カットの時に、「えらいね。」「いい子だね」と愛犬をリラックスさせる声かけをしていたり、トリミング台などで緊張してしまう子に対しては、トリミング台に馴らすトレーニングなどで「トリミング嫌いからトリミング好きへ」という意識を持っているかどうかはとても大事です。

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わんちゃんに声をかけているかは普段の行動なので、お店でもすぐにわかります。
受け渡しの際などに、声をかけているか見極めましょう。

④取り扱う器具に長けているか

古いハサミなどを使用していると、切れ味が悪く、施術にも時間かかりますし、毛にとってもよくありません。取り扱う器具をきちんと管理されていることもトリマーとしての意識がわかるポイントです。
また、施術を行う際に、ハサミの先がどちらに向いているかでも事故や怪我のリスクが変わります。愛犬の口がいきなり出てきた時などに、ハサミの先が向いている方向によっては愛犬が怪我することになります。

獣医師さとる
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プロでないと道具の良し悪しはわからないでしょうが、チャンスがあればお手入れなどを聞いてみましょう。

選び方4:提案やアドバイスをもらえる

シャンプー剤や保湿剤などは、皮膚の状態に合わせて選ぶのがベストです。
「皮膚に少し赤みがあるため、シャンプー剤を低刺激なものにしてみてはどうか。」と、「根拠ある提案」をしてくれるトリミングサロンがいいですね。飼い主様にとって、好みや料金、時間などの制限があるかもしれませんが、肌に合わないシャンプーやトリミングで皮膚トラブルを起こして動物病院に来られる方も少なくありません。

また、トリミング施術後にも、愛犬の様子や皮膚、毛の状態、そして施術内容の報告をしてもらいましょう。「おまかせ」ではなく、飼い主様がきちんとどのような状態であるか把握されることはとても大事です。場合によっては、「動物病院への受診のおすすめ」や「家でのケアの提案」など、アドバイスしてくれるかどうかもおすすめできるかのポイントです。動物病院と連携が取れているかも、安心して利用できるポイントですね!

獣医師さとる
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トリマーとのコミュニケーションが重要です。飼い主さんも、積極的に会話してみましょう。

選び方5:トラブル時に、話を聞いてくれるか。対応ができているか。

どんなに気をつけていても、どうしてもトラブルが発生することもあります。大事なのは、「トラブルがゼロ!」ではなく、「トラブルが発生してもきちんと対応してくれる」ところです。

トラブル発生時にどのように行ってるかは事前に調べることは難しいですが、口コミや利用されている飼い主様から聞くのも良いかもしれません。私としては、もしもトラブルが起こった時の対応を、トリミングサロンに事前に確認することをおすすめします。
もしもトラブルが発生した時は、下記の内容に対応してもらえるかが大事です。

・担当者はもちろんのこと、責任者も把握するようにしているか。
・動物病院などの専門機関と連携しているか、もしくは、近隣の動物病院を把握しているか。(営業時間なども把握しているかどうかは大事です。)
・トラブル後も状態の様子や把握をしているか。
・トラブル発生に対して、改善策を提示し、実行されているか。

トラブル発生した時は確認している余裕がないことが多いです。可能な範囲で、どのような対応を行っているのか事前に確認しておきたいですね。

関連記事:セルフ?動物病院?サロン?獣医師が伝えるトリミングサロンの選び方

獣医師さとる
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トラブルは仕方ありません。大切なことは「きちんと説明してくれるか」の誠実な対応です。

まとめ:愛犬目線でトリミングサロンを選ぶことが、幸福度につながる

ペット保険会社のアニコム損害株式会社の発表によると、わんちゃんの皮膚疾患は動物病院に来院する最も多い疾患や病気の一つです。(アニコム白書2021より)皮膚トラブルは、日頃のケアや注意で予防できるものも多いですが、なかなか家で行うシャンプーだけでは対応できないことも多いです。

トリミングサロンと家で行うセルフでのシャンプーやカットは、道具はもちろんのこと、シャンプーの種類、わんちゃんの行動学に対する知識も必要とするため事故やトラブルのリスクも違います。少しの汚れに対するシャンプーは家で行い、定期的にトリミングサロンでケアしてもらうというのが良いかもしれませんね。

愛犬と過ごす1日の中で、抱っこや愛犬と一緒に寝たり、たくさんのコミュニケーションを取られていることでしょう。そんな愛犬との生活中で、ふと愛犬の毛から匂う陽だまりのような香りが大好きだという飼い主様も少なくないと思います。安心して、愛犬目線でトリミングサロンを選ぶことは、愛犬にとっても飼い主様にとっても、家族の幸福度につながってくることでしょう!

おまけ:訪問型トリミングサロンという選択肢

当社では、訪問型トリミングサロン「ホームトリマー」を運営しています。訪問型トリミングサロンでは、飼い主様のご自宅にお伺いし行うトリミングサロンです。

訪問型トリミングサロンの特徴
・豊富な人材で、トリマーを選択できる
・やっている内容が把握できる
・皮膚の状況や内容を、トリマーと話しながら選択できる
・愛犬が落ち着いた環境で、トリミングすることができる
・細部にわたる実地報告を管理

トリマーと会話しながら行う、新しい形もトリミングサロンの選択の一つとして検討されてみてはどうでしょうか?

獣医師さとる
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自宅で施術が受けられる訪問トリミングはわんちゃんの負担も少なく、獣医の目線からでもおすすめです。
選択肢のひとつとして、考えてみてください。

この記事を書いた人

獣医師さとる

麻布大学 獣医外科卒業。都内の動物病院を十数年勤めたのちに、往診獣医師として独立。高齢期のわんちゃんを中心に活動していたが、自身の病気をきっかけに引退。
現在は飼い主への相談や記事制作などの業務に携わっている。