今までは大人しくトリミングを受けていた愛犬が、急に嫌がるようになって困っていませんか。サロンに連れて行こうとすると震えたり、トリマーさんに唸ったり、中には暴れてしまう子もいます。
「何か嫌なことがあったのかな」「このままトリミングできなくなったらどうしよう」と不安になりますよね。犬が急にトリミングを嫌がるようになるのには、必ず理由があります。
今回の記事では、考えられる原因を詳しく解説し、愛犬の不安を和らげるための具体的な対処法をご紹介します。

犬が急にトリミングを嫌がる主な原因
以前は問題なく通えていたのに、ある日を境にトリミングを強く嫌がるようになった。その変化には、必ず“きっかけ”があります。犬は不快な経験や不安を強く記憶する動物です。
まずは「なぜ嫌がるようになったのか」を丁寧に探ることが、解決への道になります。最近の愛犬の様子や、直近のトリミングの出来事を思い返しながら読み進めてみてください。
1.前回のトリミングで怖い思いをした
もっとも多いのが、前回のトリミングで何らかの恐怖体験をしたケースです。バリカンの振動や音に強く驚いた、シャンプーが目に入ってしみた、爪切りで誤って深爪になった、ドライヤーの風が想像以上に熱かった…こうした出来事は人にとっては一瞬でも、犬にとっては強烈な記憶として残ることがあります。
特に感受性が強い子や、もともと慎重な性格の犬は、一度の嫌な体験を長く覚えてしまいます。サロン特有の匂い、乾燥機の音、金属音などが引き金となり、場所に近づくだけで緊張状態になることもあります。飼い主が気づいていない小さなストレスが積み重なっている可能性もあるのです。
2.体調不良や痛みがある
見落とされやすいのが、体の不調です。関節炎や腰痛がある場合、トリミング台の上で体勢を保つこと自体が負担になります。皮膚炎や外耳炎があれば、ブラッシングやシャンプー、耳掃除は痛みを伴う行為になってしまいます。
また、シニア期に入ると視力や聴力の低下によって周囲の状況が把握しづらくなり、不安が強まることがあります。これまで平気だった工程でも、突然怖く感じるようになるのです。行動の変化が見られたときは、まず健康面を疑う視点を持つことが重要です。
3.トリマーやサロンが変わった
担当トリマーの変更やサロンの移動も、犬にとっては大きな出来事です。犬は嗅覚が非常に優れており、人や空間の匂いの違いに敏感です。施術の順番や触り方、声のトーンが変わるだけでも戸惑うことがあります。
とくに神経質なタイプの犬は、環境の変化に強いストレスを感じやすい傾向があります。「場所が変わっただけ」と思っていても、犬にとってはまったく別の体験になっているかもしれません。
4.加齢による不安の増加
7歳前後を境に、体力や持久力は徐々に低下していきます。若い頃は平気だった長時間の施術がつらくなることもあります。また、認知機能の変化やホルモンバランスの影響で、不安傾向が強まることもあります。
「年齢的な変化」とひとことで言えますが、その背景には身体的・精神的な複数の要因が絡んでいます。愛犬の年齢や体調を踏まえた配慮が必要になります。

トリミングを嫌がるようになったら、まず動物病院で健康チェックを受けましょう。「最近トリミングを嫌がる」と具体的に伝えることで、関節や皮膚、耳などを重点的に診てもらえます。体の問題がクリアになってから行動面の対策を進めるのが安心です。
自宅でできる段階的な慣らし方
嫌がる犬に対して無理に続行すると、恐怖はさらに強化されてしまいます。大切なのは、「大丈夫だった」という成功体験を少しずつ積み重ねることです。
1.まずは道具に慣れさせる
ブラシやドライヤーなどを、いきなり使用するのではなく、まずは存在に慣らすところから始めます。床に置いて自由に匂いを嗅がせ、近くでおやつを与えるなど、「道具がある=嫌なことが起こる」ではなく「良いことが起こる」という印象に変えていきます。
音が苦手な場合は、最初は電源を入れず、次に短時間だけ音を出すというように段階を踏みます。怖がらずにいられたら、その瞬間をしっかり褒めてあげることが重要です。
2.短時間のお手入れを習慣にする
全身ケアを目指すのではなく、1日数分のブラッシングや足先タッチなど、小さな成功から積み重ねます。リラックスしているタイミングを選び、終わったら必ず褒める。これを繰り返すことで、「触られること=安心」という学習が進みます。
時間を少しずつ延ばしていくことで、忍耐力も育っていきます。焦らない姿勢が何より大切です。
3.苦手な部分を見極める
すべてが嫌なわけではなく、特定の部位だけを極端に嫌がることもあります。足先、顔周り、お尻周辺など、反応の違いを観察しましょう。苦手な部分はほんの一瞬触れるところから始め、できたらすぐ終了するという流れを繰り返します。押さえつけるのではなく、「できたら終わり」の安心感を与えることが改善の近道です。

トリミングサロンと協力して行う対策
自宅での取り組みと並行し、サロン側との連携も欠かせません。遠慮せず状況を共有することで、愛犬に合った対応が可能になります。
1.事前に詳しく伝える
嫌がり始めた時期や、特に苦手な工程、過去のトラブルなどは具体的に伝えましょう。情報が多いほどトリマーは対応しやすくなります。「今日はできる範囲で」と伝えるだけでも、犬の負担を減らせます。
2.短時間コースを活用する
シャンプーのみや部分カットなど、短時間メニューから再スタートするのも効果的です。成功体験を積み重ねることで抵抗感が薄れていきます。シニア向けのゆったりコースを設けているサロンもあります。
3.担当を固定する
同じトリマーに継続して担当してもらうことで、安心感が育ちます。人への信頼ができると、多少苦手な工程があっても受け入れやすくなります。
4.鎮静剤の検討
恐怖が強く安全確保が難しい場合は、獣医師と相談のうえ軽い鎮静を検討することもあります。自己判断は避け、必ず医療管理のもとで行いましょう。

サロン選びでは「無理をさせない方針かどうか」を確認しましょう。見学や口コミの確認も有効です。動物病院併設サロンは医療面の安心感があります。
予防のために普段から心がけたいこと
トリミング嫌いは、日頃の積み重ねで予防できます。
1.子犬期から慣らす
社会化期に体を触られる経験を楽しいものとして覚えさせると、成犬期の抵抗が少なくなります。優しく触ること、ブラッシングを遊びに組み込むことが理想的です。
2.定期的に通う
間隔が空きすぎると警戒心が強まります。一定周期で通うことで予測可能性が高まり、ストレスが減ります。
3.終わった後は必ず褒める
トリミング後は大げさなくらい褒め、ご褒美を与えましょう。「頑張ったら良いことがある」という経験が次回の安心につながります。
まとめ
犬が急にトリミングを嫌がる背景には、恐怖体験、体調不良、環境変化、加齢など複数の要因が考えられます。まずは健康チェックを行い、身体的な問題がないかを確認しましょう。
そのうえで、自宅では段階的な慣らしを行い、サロンとは密に連携しながら進めていきます。焦らず、愛犬のペースを尊重することが成功の秘訣です。
日頃から触れ合いを習慣にし、定期的な通院とご褒美を忘れなければ、トリミングへの抵抗は少しずつ和らいでいきます。愛犬が安心してお手入れを受けられる未来を、時間をかけて一緒に取り戻していきましょう。最後までお読みいただきありがとうございました☺


