犬の歯茎の健康、飼い主さんなら誰しもが気になるところですよね。私たち人間と同じように、犬も歯茎のトラブルが原因で、さまざまな病気につながることがあります。
今回は、犬の歯茎の役割から、よくあるトラブルの原因、症状、治療法、そして何より大切な日々のケア方法まで、飼い主さんが知っておくべき情報をギュッとまとめてお伝えします。
犬の歯茎ってどんな役割があるの?
犬の歯茎は、大切な歯をしっかりと支える土台です。健康な歯茎は、引き締まったきれいなピンク色をしていて、出血や腫れがありません。この健康な歯茎があるからこそ、犬はご飯をしっかり食べたり、おもちゃを思いっきり噛んで遊んだりできるのです。しかし、意外とデリケートな部分なので、さまざまな原因でトラブルが起こりやすいんです。
要注意!犬の歯茎トラブル
犬の歯茎トラブルの多くは、口内にいる細菌が関係しています。特に「歯肉炎」と「歯周炎」は、多くの犬が悩まされる問題。これらはまとめて「歯周病」と呼ばれることが多いです。
歯肉炎は、歯と歯茎の間に歯垢(プラーク)が溜まることで始まります。歯垢を放置すると、歯茎が炎症を起こして腫れたり出血したりするようになります。初期段階であれば適切な治療で回復が見込めますが、放置してしまうと、より深刻な「歯周炎」へ進行してしまいます。
歯周炎は、歯肉炎がさらに進行し、炎症が歯を支える組織や骨にまで及んだ状態です。こうなると、歯がグラグラして抜け落ちることも…。完治が難しくなるため、早期発見と早期治療がとても大切です。
チワワやトイプードルなどの小型犬は、乳歯遺残(永久歯が生えてきても乳歯が抜けないこと)が起こりやすく、歯並びの乱れから歯垢が溜まりやすくなります。日常的に犬の口の中をチェックしてあげましょう!
歯茎トラブルの8つのサイン
犬の歯茎トラブルは、初期段階ではなかなか飼い主さんが気づきにくいものです。しかし、放置してしまうと歯周病へと進行し、愛犬の健康全体に深刻な影響を与えることもあります。日頃から小さなサインに注意を払い、早めの対応を心がけましょう。特に以下のような変化が見られる場合は、歯茎にトラブルが起きている可能性が高いです。
1.歯茎が赤く腫れている
正常な歯茎はピンク色で引き締まっていますが、炎症が起きると赤く腫れ、ぷっくりと膨らんで見えます。軽い腫れだからと油断せず、早めにチェックしましょう
2.歯茎から血が出る
軽く歯に触れただけで歯茎から出血する場合、歯周病の初期症状かもしれません。血が混じったよだれが見られることもあるので、食後や遊びの後に口元をよく観察しましょう
3.口臭がきつくなる
犬特有の「口臭」と思って見逃しがちですが、いつも以上に悪臭が強くなっている場合は、口内で細菌が繁殖しているサインです。歯周病が進行している可能性もあるため、放置しないようにしましょう
4.よだれが増える
普段あまりよだれを垂らさない犬が、急によだれをダラダラと流すようになったら要注意です。歯茎の痛みや違和感から、口内環境が乱れている可能性があります。
5.歯がグラグラする
すでに歯周組織が破壊されている可能性があり、歯が抜け落ちる危険性もあります。歯のぐらつきを感じたら、すぐに獣医師に診てもらいましょう。
6.口元を触ると嫌がる
痛みや違和感があると、犬は口周りを触られるのを極端に嫌がるようになります。今まで平気だったのに、口を触ると怒ったり避けたりするようになった場合、歯茎のトラブルを疑ってください。
7.ドライフードを食べにくそうにする
固いものを噛むと歯茎に刺激が伝わるため、痛みを避けようと食べ方が遅くなったり、フードを途中で口から出してしまったりすることがあります。柔らかいウェットフードを好むようになるのも、歯茎の不調のサインです
8.顔を床にこすりつける行動が増える
口の違和感や痛みを紛らわせるために、顔を床や家具にこすりつけるしぐさが増えることもあります。この行動が見られたら、口腔内に異常がないかすぐにチェックしてあげましょう。
これらの症状が複数見られる場合は、すでに歯周病がかなり進行している可能性が高いです。特に、歯のぐらつき、歯茎からの出血、食欲の低下が同時に見られる場合は、早急に動物病院を受診することが大切です。
歯周病は単に口の中の問題にとどまらず、心臓や腎臓などの全身疾患の引き金になることもあります。愛犬の健康を守るためにも、早期発見・早期治療を心がけましょう。
歯茎トラブルの治療法
治療法は、症状の程度によって異なります。軽い歯肉炎なら、動物病院で歯垢や歯石を専門的に取り除いてもらうだけで改善が期待できます。歯石除去は、一般的に全身麻酔下で行われます。
進行した歯周炎の場合、抜歯や炎症部位の切除といったより大がかりな治療が必要になることも。その際は、犬の体調を考慮しながら、獣医師が慎重に判断して治療を進めます。
乳歯遺残が原因の場合は、残った乳歯を抜く処置を行います。これも基本的に全身麻酔下で行われますが、比較的短時間で終わることが多いです。ただし、事前検査や麻酔リスクへの配慮も忘れてはいけません。
歯茎トラブルの予防と毎日のケア
犬の歯茎トラブルを防ぐ一番の方法は、毎日のホームケアです。歯垢や歯石が溜まらないように、できれば子犬のうちから歯磨きの習慣をつけましょう。
最初は嫌がることもありますが、焦らず少しずつ慣らしていくことが大切です。デンタルガムや液体デンタルケア商品など、無理なく始められるアイテムから取り入れていきましょう。慣れてきたら、犬用歯ブラシで丁寧に磨いてあげるのがおすすめです。
人間用の歯磨き粉には犬に有害な成分が含まれていることがあるため、必ず犬用のものを選びましょう。フレーバー付きの商品もあるので、愛犬が喜ぶものを探してみてくださいね!
日々のお手入れで、犬のお口の中を定期的に観察することも大切です。歯茎の色や腫れ、出血の有無などに気を配り、異変を感じたら早めに動物病院を受診しましょう。
歯茎トラブルのリスク
歯茎トラブルを放置すると、口内だけの問題では済まないことがあります。症状が悪化すると、鼻や顎の骨に影響が及び、鼻炎や歯根部の膿瘍(歯の根に膿が溜まる病気)、下顎骨折といった重篤な合併症を引き起こす可能性も。
さらに、歯周病の原因菌が血流に乗って全身に広がり、心臓や腎臓といった重要な臓器にダメージを与えるリスクも指摘されています。だからこそ、日頃の丁寧なケアと、少しの変化を見逃さない観察が重要なんです。
歯垢がつきにくい専用ドッグフードや、硬めのおやつを取り入れるのも、歯の健康維持に役立ちます。ただし、これらだけに頼らず、あくまでも歯磨きが基本であることを忘れずに!
まとめ
犬の歯茎の健康は、幸せな毎日を送るために欠かせない要素です。トラブルは初期段階では見逃されやすいですが、放置すると命に関わる重大な病気に発展する可能性もあります。
毎日の歯磨き習慣と、定期的なチェックを心がけ、少しでも異変を感じたらすぐに専門医に相談しましょう。愛犬の健康を守るために、できることから始めていきましょうね。最後までお読みいただきありがとうございました☺