【課題】なぜ起こる?ペットを捨てる理由ランキングTOP6!私たちが今できる解決策

ペットを飼うことは、日々の生活に癒しや喜びをもたらします。しかし、その一方で飼い主さんの事情によりペットが捨てられるという悲しい現実も存在しています。この問題は単に一部の飼い主さんだけの問題ではなく、社会全体が関与すべき大きな課題と言えます。

今回の記事では「ペットを捨てる理由ランキング」をもとに、その背景や根本的な要因を掘り下げながら、私たちができる対策について考察していきます。

ペットを捨てる理由の現状とランキング

動物愛護団体やシェルターで報告されるデータによると、ペットを手放す理由には一定の傾向があります。以下は、多くの調査で共通して見られる代表的な理由です。

1. 経済的困難が引き起こす飼育放棄

ペットの飼育には想像以上の費用がかかります。毎日の食費、トイレ用品、定期的な予防接種や健康診断に加え、病気や怪我の治療費が大きな負担となることもあります。

特に多頭飼育の場合や、ペットが高齢化して医療ケアが必要になった際には、費用が急増する傾向があります。不況やリストラ、家計の悪化が直接の原因となり、泣く泣く手放すケースが後を絶ちません。

ペットを飼うには、想像以上の費用がかかることを忘れてはいけません。以下は、一般的な費用項目です。

  • 食費と消耗品費用:フードやトイレ用品は毎月の必需品であり、ペットの種類や大きさにより出費は異なります。たとえば、犬種によっては1か月で数万円のフード費が必要になる場合もあります。
  • 医療費:病気や怪我が発生すると、数万円から数十万円がかかることもあります。さらに、高齢のペットには腎臓病や関節疾患などの慢性疾患が増えるため、長期的な治療費用が飼い主に重くのしかかります。
  • 緊急時の出費:交通事故や予期せぬ手術など、突然の出費に対応できないケースもあります。

背景にある問題

多くの人がペットを迎え入れる際、費用に対する現実的な計画を立てていないことが問題の一因です。日本の社会保障制度では、ペットの医療費や支援がカバーされないため、経済的困難に直面した飼い主さんがペットを手放すケースが後を絶ちません。特にリストラや不況の影響を受けた世帯では、経済的な余裕を失い、生活維持が最優先となることで飼育放棄に至ることが多いです。

2. ペットアレルギーの発症

ペットの毛やフケ、唾液に含まれるアレルゲンによる健康問題は深刻であり、特にアレルギー体質を持つ人がそのリスクを十分理解しないままペットを迎えた結果、飼い主さん自身や家族が動物アレルギーを発症し、医師の診断によりペットを手放さざるを得なくなる場合があります。

よくある症状と対応策

  • 症状目のかゆみ、くしゃみ、皮膚のかぶれ、喘息など。これらは日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
  • 対応策の不足:空気清浄機の導入や、ペットを特定の部屋に制限するなどの対応が推奨されますしかし、これだけでは完全に症状を抑えられない場合もあります。

社会的なサポートの欠如

アレルギーによるペット放棄は、防ぐことが難しい一方で、適切な相談窓口やアレルギー対応の支援が少ない点が問題です。医師や専門家からのサポートを受けることが推奨されますが、そのような支援体制はまだ十分ではありません。

3. 住居や環境の変化による影響

ペット飼育を続けるには適切な住環境が必要ですが、飼い主さんの生活環境が変化すると、これが困難になる場合があります。

賃貸物件の制限

日本ではペット可の賃貸物件が全体の約20~30%と少なく、引っ越しの際にペットを連れていく選択肢が狭まります。特に都市部では、物件探しに苦労するケースが多く、結果的に飼い主さんがペットを手放す選択を迫られることがあります。

家族構成の変化

結婚や離婚、子どもの誕生といった家族構成の変化も、ペットを手放す理由になります。新しい家族がペットを受け入れられない場合や、育児や家庭生活の優先順位が変わることで、ペットの世話が後回しにされることが問題です。

4. しつけの問題と飼い主の教育不足

ペットの行動問題は、多くの場合、飼い主さんのしつけ不足や誤った対応が原因です。たとえば、犬が無駄吠えをする、家具を傷つける、トイレの場所を覚えないなどの問題が挙げられます。

背景にある要因

  • 知識不足:初めてペットを飼う人の多くが、しつけに必要な時間や方法を知らないまま飼育を始めてしまう。
  • 相談機関の不足:行動問題に悩んだ際に相談できる専門家やトレーナーへのアクセスが限定的である。

解決策

しつけに関するオンライン講座や、地域でのペットトレーニング教室の普及が必要です。また、ペット購入時にしつけ方法を学ぶ機会を義務化することも効果的です。

5. 健康上の理由

高齢化社会の進展に伴い、飼い主さん自身の健康がペットの飼育に影響を及ぼすケースが増えています。特に高齢者がペットを手放す背景には、次のような理由があります。

  • 介護施設のペット持ち込み禁止:高齢者が介護施設に入所する際、多くの施設ではペットの持ち込みが認められていません。
  • 健康の悪化:病気や体力の低下により、散歩や餌やりといった日常的なケアが困難になる。

サポート体制の必要性

高齢者向けのペットケアサービスや、介護施設内でのペット同伴可能な環境整備が必要です。一部地域では「老老介護」のように、地域住民が高齢者とペットを支える取り組みが始まっていますが、まだ広く普及していません。

6. 繁殖や多頭飼育の破綻

計画性のない繁殖や、多頭飼育が結果的に破綻し、動物が捨てられるケースも深刻です。このようなケースでは、飼い主さん自身が経済的・精神的に追い詰められ、最終的に動物虐待やネグレクトに発展するリスクもあります。

ひろこ

ペットを迎える前に、飼育に必要なお金や環境、しつけの知識をしっかり準備しましょう!また、アレルギーやライフスタイルの変化にも対応できるか考えることが大切です。計画性を持つことで、ペットと幸せな生活が続けられますよ。

ペットを捨てる背景にある社会的要因

ペットを手放す行動の背後には、個人の事情だけでなく、社会全体の構造的な問題があります。ここでは、社会的に問題視されている要因について解説していきます。

1.情報不足と計画性の欠如

ペットを飼う際に十分な準備をせず、「可愛い」「癒されそう」という短絡的な理由でペットを迎えるケースが多いと言われています。犬や猫といったペットの種類ごとに必要なケアや特性が異なるにも関わらず、それらを学ばずに飼い始めることが、後の問題行動や飼育放棄につながっています。

2.ペット業界の責任

ペットショップやブリーダーの販売スタイルも大きな問題です。利益重視のため、飼い主さんに十分な飼育知識を伝えないまま販売されるケースが多く見られます。また、ペットの健康状態や生い立ちに関する情報を隠すことで、問題が後になって顕在化することもあります。

3.福祉制度の未整備

日本では動物愛護に関する法律が存在するものの、実効性が十分とは言えません。一方で、欧米諸国では飼い主さんの責任を法的に明確化し、ペットを捨てる行為に厳しい罰則を設けている国もあります。日本でもこのような規制が求められる時代に差し掛かっています。

ひろこ

ペットを迎える前にしっかり調べ、準備することが大切!さらに、業界や社会全体でのルールづくりも必要です。

ペットを捨てる行為がもたらす影響

ペットを捨てることには、多大な影響があります。それはペット自身の苦しみだけでなく、飼い主さんや社会にも波及します。以下では、ペットを捨てることによる影響について解説します。

1.ペットへの影響

捨てられたペットは、保健所や動物シェルターに収容されます。しかし、その収容率が高いため、新しい飼い主さんが見つからない場合は、安楽死が選択されることが一般的です。また、運良く生き延びたペットもストレスや健康問題を抱えることが多く、悲惨な状況に置かれることになります。

2.飼い主への影響

ペットを手放す行為が、飼い主さん自身の精神的負担となることもあります。「無責任」と非難される恐れや、捨てたことへの罪悪感が生涯にわたって尾を引くことがあります。

3.社会への影響

地域社会にも悪影響を及ぼします。例えば、野生化したペットが地域の生態系に影響を与える場合や、住民に迷惑をかける場合があります。また、シェルターや保健所の負担が増大し、動物福祉のリソースが圧迫されることも問題です。

ペットを捨てない社会を実現するために

この問題に向き合うには、飼い主さんのための意識や行動が大切なのはもちろん、社会全体で支える戦略づくりも大切です。個人のレベルでは、ペットを迎える前にしっかりと準備をし、責任を持って飼う覚悟を持つことが重要なのです。

1.飼い主側の意識改革

ペットを飼う際には、長期的な視点で計画を立てることが重要です。例えば、ペットの寿命や費用、必要なケアを十分に調べ、自分のライフスタイルと合致するかどうかを確認しましょう。また、問題が発生した際には専門家に相談することをためらわず、適切なサポートを受けることが大切です。

2.ペット業界の改善

販売業者には、ペットの適正な飼育方法を購入者に説明し、飼い主さんとしての責任を理解させる努力が求められます。また、里親制度や譲渡会の利用を促進することで、購入以外の選択肢を広げることができます。

3.法律と福祉制度の強化

日本でも、ペットを捨てる行為に対する厳しい罰則や、飼い主さんとしての登録制度を導入することが考えられます。また、高齢者や経済的困難を抱える飼い主さんに対する支援制度を充実させることも重要です。

まとめ

ペットを捨てる理由の多くは、知識不足や計画性の欠如、そして社会的な支援の不足によるものです。しかし、飼い主さん一人ひとりが責任感を持ち、社会全体で支援体制を整えることで、この問題を解決に導くことができます。

ペットは単なる動物ではなく、共に暮らす家族の一員です。その命を尊重し、最後まで責任を持って飼育する姿勢が、より良い社会の実現につながります。ペットを捨てるという選択肢を減らすため、私たち全員が意識を高め、行動を起こしていくことが求められています。最後までお読みいただきありがとうございました☺

この記事を書いた人

トリマー ひろこ

大学卒業後、「走れ!T校バスケット部」作者のもと、アシンスタントとして勤仕。数年後、昔から夢だったトリマーを目指し専門学校に入学。JKCトリマー・ハンドラー資格取得。トリミングサロン、動物病院、個人店経営の経験後、現在は母校の専門学校で運営の手伝いをしながら、記事を制作。18歳の息子をもつシングルマザー。