「うちの犬、絶対起きてるのに寝たふりしてる!」そんな可愛らしい姿に、思わず笑ってしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。しかし、犬の“寝たふり”にはさまざまな心理や理由が隠れています。今回の記事では、犬が寝たふりをする本当の理由や、そこに潜むサイン、正しい対応法、などを幅広く深堀りしていきます。
犬が「寝たふり」をするのはなぜ?
犬が寝たふりをするのは、ただの気まぐれではありません。実はそこに、犬なりの感情や意図がしっかりと隠されているのです。
では、どのような理由で寝たふりをするのでしょうか?
1.ストレスや不安からくる「カーミングシグナル」
犬が大きな物音に驚いたときや、飼い主に叱られた直後、あるいは見知らぬ人や犬が家に入ってきたときなど、不安やストレスを感じる場面で「寝たふり」をすることがあります。
これは、犬が自分自身や周囲の状況を落ち着かせようとする「カーミングシグナル」の一種です。あえて動かず、静かに寝ているように見せることで、トラブルを回避しようとしているのです。
2.「かまってほしい」「退屈している」サインとして
犬は飼い主に構ってもらえないとき、「寝たふり」で注意を引こうとすることがあります。たとえば、飼い主がスマホやテレビに夢中で無視されていると感じたとき、過去に寝たふりをして声をかけてもらえた経験があると、同じ行動を繰り返すようになります。これは「注目されたい」「遊んでほしい」といった感情の現れとも言えるでしょう。
3.「ふて寝」や「現実逃避」としての寝たふり
叱られて落ち込んでいるときや、自分の思い通りにいかずにいじけているとき、犬は背中を向けて寝たふりをすることがあります。これは人間でいうところの「ふて寝」に近く、気まずい空気をやり過ごしたり、自分の感情を整理しようとしている行動とも考えられます。
「寝たふり犬」に毎回反応しすぎると、構ってアピールが強くなることも。適度に無視して“自立心”を育てるのも大切です。
「ふて寝」「拗ね寝」行動の裏側
犬があえて少し離れた場所や、背を向けるようにして寝ているとき、それはただの昼寝ではなく「ふて寝」や「拗ね寝」の可能性があります。たとえば、遊びを中断された、かまってもらえなかった、叱られた。そんな“モヤモヤ”した気持ちを、犬なりの方法で表現しているのです。
この行動は、まるで「寝てるけど気にしてるよ」というサイン。耳だけこちらを向けていたり、しっぽだけ動いていたりすることもあります。つまり、完全に無視しているわけではなく、「ちょっとは構ってほしい」「気づいてほしいけど、こちらからは行かない」というツンデレのような心理状態なのです。
こうした“寝たふり”には、犬の感情の豊かさや人間との絆がよく表れています。すぐにかまいに行くよりも、少し時間をおいて優しく声をかけるなど、犬のペースに合わせた対応を心がけると、信頼関係がより深まるでしょう。
「寝たふり」と「本気寝」の見分け方
犬は一日の半分以上を寝て過ごす動物。「また寝たふりしてる?」と思っても、実は本当に寝ていることも少なくありません。見分け方のヒントは以下の3つになります。
- 「ご飯」「散歩」などの言葉に反応する
- 耳やしっぽがピクッと動く
- 薄目を開けて飼い主をチラチラ見ている
これらが見られれば“寝たふり”の可能性が高いですが、全く反応がなければ本気で寝ているのでそっとしておきましょう。
体調不良が隠れている場合も
犬が「ふて寝」や「拗ね寝」のような行動を頻繁に見せる場合でも、実はそこに体調不良が隠れているケースもあります。特に、普段は活発で飼い主にべったりな子が、突然ひとりで静かに横になる時間が増えたり、背を向けたまま動かなくなったりするような変化が見られたら注意が必要です。
このような行動の裏には、疲れや軽い不調だけでなく、消化不良、関節の痛み、内臓の異常など、何らかの体のサインが隠れていることもあります。下痢や嘔吐、食欲不振、震え、呼吸の浅さなどが同時に見られる場合は、単なる気分の問題と片付けず、早めに動物病院で診察を受けましょう。
また、犬は本能的に不調を隠そうとする傾向があります。「大丈夫そう」に見えても、実はかなり無理をしているということも。日頃から愛犬の行動パターンや寝る位置、目線、呼吸の仕方などを観察しておくと、ちょっとした異変にも気づきやすくなります。
寝たふり犬への正しい対応としつけのコツ
犬が寝たふりをしているときは、基本的には「放っておく」のがベストです。構いすぎると逆に依存心やわがままが強くなったり、ストレスが溜まりやすくなります。
また、叱った後に寝たふりをしている場合は、犬がストレスを感じている証拠。この場合も無理に構わず、少し時間をおいてから優しく声をかけたり、散歩や遊びで気分転換をさせてあげましょう。
叱るよりも「良い行動を褒める」しつけを心がけましょう。寝たふりは犬なりのストレスサインなので、無理にやめさせる必要はありません。
寝たふり以外の犬のアピール行動とその意味
犬は寝たふり以外にも、飼い主にさまざまなアピールをします。たとえば、わざとトイレを失敗する、食事をしない、無視をする、家具やおもちゃを破壊するなど、ストレスやかまってほしい気持ちが行動に現れます。
こうしたアピール行動を見逃さず、愛犬の心のサインに気づいてあげることが、より良い関係づくりの第一歩です。
寝たふり犬の“演技力”と犬の社会性
犬の寝たふりには、実は“社会的知能”の高さが表れています。犬は人間の表情や声色、雰囲気を読み取り、「今は寝たふりをした方が得策だ」と判断する能力を持っています。
また、寝たふりは“自己防衛本能”の一種でもあります。野生時代、危険を感じたときに「動かずにやり過ごす」ことで身を守ってきた名残が、現代の犬にも残っているのです。
寝たふりが増えたと感じたら、生活環境やコミュニケーションの見直しを。ストレスや退屈が原因の場合は、散歩や遊び、スキンシップの時間を増やしてみましょう。
まとめ
「寝たふり犬」は、ストレスや不安、かまってアピール、ふて寝、体調不良など、さまざまな理由で生まれる行動です。その裏には、犬なりの複雑な感情や社会性、飼い主との関係性が隠れています。
寝たふりをただの“可愛いしぐさ”と片付けず、愛犬の心のサインとして受け止め、適切に対応してあげることが、より良いパートナーシップにつながります。最後までお読みいただきありがとうございました☺