「犬の爪切りで死亡」という言葉を聞くと、信じられないと思う方も多いでしょう。しかし、実際には誤った爪切りや体調への配慮不足が原因で、命に関わるケースが報告されています。今回の記事では、爪切りによって起こりうる危険と、安全に行うためのポイントをわかりやすく解説します。

爪切りが原因で起きた実際の死亡例
爪切り自体が直接の死因になることは極めてまれです。しかし、出血やストレス、感染などが引き金となり命に関わる事態に発展することがあります。ここでは、実際に報告された主なケースを紹介します。
1.出血が止まらずショック状態に
犬の爪の中には「クイック」と呼ばれる血管と神経が通っています。深く切りすぎてしまうと出血し、血液が止まりにくい体質や持病(肝疾患・血小板減少など)を持つ犬では、少量の出血でも危険な状態になることがあります。特に小型犬や老犬は失血性ショックに陥るリスクが高いです。
2.強いストレスが原因の心臓発作
爪切りを極端に怖がる犬は、恐怖や痛みで心拍数や血圧が急上昇します。心疾患(僧帽弁閉鎖不全症など)を抱える犬の場合、急性心不全や心停止を引き起こすこともあります。呼吸が荒くなる、舌が紫色になる(チアノーゼ)などの症状が見られたら、ただちに中止し獣医師へ相談してください。
3.感染が原因で敗血症に
出血した爪をそのまま放置すると、細菌が侵入して化膿や炎症を起こすことがあります。免疫力の低い犬や高齢犬、糖尿病を持つ犬では感染が全身に広がり、敗血症(血液感染)に発展する危険も。切った後は必ず止血と消毒を行い、異常が見られたらすぐ病院へ。
爪切りで起こりうる主なリスク
犬の爪切りには、以下のようなリスクが潜んでいます。
- 血管を切ってしまい大量出血する
- 恐怖や痛みにより心臓に強い負担がかかる
- 出血箇所から感染する
- 出血や痛みによるショック状態
- 暴れて転倒・骨折などの二次事故
特に高齢犬・小型犬・心疾患を持つ犬は注意が必要です。体への負担を最小限に抑えるためには、無理をせず慎重に進めることが大切です。

持病のある犬は、自宅での爪切りは避け、獣医師に相談するのが安全です。
爪トラブルを防ぐ日常ケア
爪切りの事故を防ぐには、日頃からのチェックとケアが欠かせません。
- 1〜2週間ごとに長さを確認:「カチカチ」と床に音がするなら切り時です。
- 散歩で自然に削れているか確認:アスファルトを歩く犬は摩耗しやすいです。
- 足を触る練習を:日常的に触れて慣らしておくと、爪切り時のストレスが減ります。
- 肉球まわりの毛をカット:滑り防止や爪の摩耗を均等にします。
- 高齢犬はこまめに観察:活動量が減ると爪が伸びやすくなります。
小さな習慣の積み重ねで、爪切りそのものを安全でスムーズなものにできます。

正しい爪切りのやり方と注意点
爪切りは、正しい手順と準備を押さえれば安全に行えるケアです。とはいえ、焦って切りすぎたり、犬が怖がって暴れると事故につながることもあります。ここでは、初心者でも安心してできる安全な爪切りの方法と注意点をわかりやすく紹介します。
① 準備をしっかり整える
- 犬専用の爪切り(ギロチン型・ニッパー型など)を使用
- 明るい場所で作業し、血管の位置を確認
- 止血剤を必ず手元に(緊急時は小麦粉・コーンスターチでも代用可)
② 正しい手順で少しずつ切る
- 犬を落ち着かせ、足を優しく持つ
- 白い爪なら血管の手前2〜3mmをカット
- 黒い爪は少しずつ切り、断面に黒い点が見えたらストップ
- 一度に全部切ろうとせず、数日に分けて行うのも◎
- 仕上げにヤスリで角を滑らかに
出血した場合は慌てず止血剤を押し当てて5分程度圧迫し、止まらない場合は病院へ。
③ 無理をせずプロに任せる選択も
爪切りを嫌がる、暴れる、過去に事故がある犬は、トリマーや獣医師に任せるのが安全です。料金は500〜1500円程度で、月1回のペースが理想。特に以下の犬はプロに依頼を。
- 爪が巻いている
- 攻撃的に抵抗する
- 心臓・肝臓などに持病がある
- 出血経験がある
まとめ
犬の爪切りは、日常的なケアでありながら命に関わるリスクもある行為です。血管の位置を見極め、少しずつ慎重に行うこと。そして、止血・消毒・ストレスケアを怠らないことが何より大切です。
もし少しでも不安があるなら、無理をせずプロに任せましょう。愛犬の安全を守るために、正しい知識と冷静な判断を心がけてください。愛犬の命を守る一番のポイントは、「焦らないこと」。ゆっくり慣らして、安全なケアを続けていきましょう。最後までお読みいただきありがとうございました☺



