それ、遊び?ストレス?犬がくるくる回る理由と正しい対処法

犬がくるくるとその場を回る様子は、飼い主であれば誰しも一度は見たことがあるでしょう。愛らしく、思わず笑ってしまうような行動に見えますが、実はそこに犬からの重要なメッセージが隠されているかもしれません。

今回の記事では「犬がくるくる回る理由」をテーマに、その行動の背景や見極め方、飼い主としての正しい対応について、わかりやすく解説します。

犬がくるくる回るのはなぜ?

犬のくるくる回る行動は、大きく分けて本能的な行動、感情表現、そして異常行動の3つに分類されます。どれも日常の中で見られるものですが、その違いを理解することが愛犬の健康を守る第一歩です。以下では、くるくる回る行動について詳しく解説します。

1.本能的な習性によるもの

まず注目すべきは、犬が持つ野生時代からの本能です。例えば排泄の前や寝床を整えるとき、犬は周囲の安全を確認したり、草などを踏みならすためにくるくる回ることがあります。これは、外敵や害虫から身を守るための習慣であり、現代の室内犬にも残っています。

また、寝る前に毛布の上でくるくると回る行動もよく見られますが、これは快適な寝場所を作るための名残です。自分のにおいを付けて安心感を得ているとも言われています。

2.喜びや期待感から来る感情表現

犬は喜びを身体全体で表現します。ごはんの時間、飼い主の帰宅、散歩前など、興奮や期待が高まる場面では、しっぽを振りながらくるくる回ることがあります。このような行動は明るく活発な感情の現れであり、飼い主にとっても嬉しい瞬間です。

ただし、これが興奮しすぎて手がつけられなくなる場合には、落ち着くためのしつけやルーティンが必要になることもあります。

3.ストレスや病気による異常行動

注意が必要なのは、同じ場所を何度も回り続けるような異常行動です。特に高齢犬や神経系の病気を抱える犬に多く見られます。前庭疾患や脳腫瘍、認知症などの神経系トラブル、または耳の感染症や肛門腺のトラブル、皮膚のかゆみなどが背景にあるケースも。

このような行動は「旋回運動」と呼ばれ、単なる癖ではなく治療が必要な病気の可能性もあるため、早めの受診が推奨されます。

シーン別に読み解く「くるくる回る」の意味

犬がくるくる回るシーンは日常の中に溢れています。それぞれの場面を丁寧に観察することで、愛犬の気持ちや体調のヒントが見えてきます。以下では、シーン別にくるくる回る意味を解説していきます。

1.排泄前のくるくる

排泄前に何度もその場を回るのは、においの確認や害虫の有無をチェックするための本能です。この行動が見られるのは自然なことで、特に問題視する必要はありません。

2.寝床を整えるくるくる

寝る前にベッドの上でくるくるするのは、自分のにおいを残したり、落ち着いた寝心地を作り出すため。野生の頃に地面を踏みならして安全な寝床を作っていた行動の名残です。

3.喜びや興奮によるくるくる

おやつの時間や、遊びに誘うときに犬がくるくる回るのは、喜びのサインです。しっぽを振ったり跳ねるような動きが伴っているなら、ポジティブな感情の現れと捉えて良いでしょう。

4.ストレス発散や退屈からのくるくる

日中にあまり運動していない、刺激が少ない、または環境の変化による不安などが原因で、犬はストレスを感じるとくるくる回ることで発散することがあります。

犬の行動には、私たちが気づかない小さなサインがたくさん隠されています。「くるくる回る」という一見可愛らしいしぐさも、実は本能や感情、時には体の不調を伝える大切なメッセージかもしれません。大切なのは、日常の中で愛犬の変化に目を向け、いつもと違う様子があれば早めに対応しましょう。

くるくる回る行動への対処法

犬の回る行動がどのような理由からくるものであっても、飼い主がその背景を理解し、適切に対応することが重要です。以下はでは、くるくる回る対処法について解説します。

1.日常的な行動であれば見守りを

排泄や就寝時、喜びから来る一時的なくるくる行動であれば、特に制止する必要はありません。ただし、興奮が強すぎるようであれば、ゆっくりと声をかけるなどしてクールダウンの習慣を作るのもよい方法です。

ひろこ

日常の中で見られる行動は、動画に撮っておくと、獣医師に相談する際の資料になります。特に「いつもと違う」と感じた瞬間は記録しておきましょう。

2.ストレス対策として生活環境を整える

退屈や刺激不足が原因で回る行動が目立つ場合は、散歩の時間を増やしたり、知育玩具を使って遊びのバリエーションを広げてみましょう。愛犬が過ごすスペースに安心感があるかも見直してみてください。

ひろこ

生活の中にちょっとした変化を取り入れることで、犬のストレスを軽減できます。家具の配置を変える、新しいおもちゃを導入するなど、小さな工夫を続けてみましょう。

3.病気が疑われる場合は早めの受診を

いつまでも同じ場所を回り続ける、目の動きがおかしい、ふらつくなどの異変がある場合は、すぐに動物病院を受診してください。高齢犬では認知症の初期症状であることもあります。定期的な健康チェックやグルーミングも、病気の早期発見につながります。

ひろこ

高齢犬や持病のある犬の場合は、くるくる回る頻度を日記やスマホのアプリで記録しておくと、異変に気づきやすくなります。

まとめ

犬のくるくる回る行動には、私たち人間が気づきにくい深い理由が潜んでいます。自然な習性から来るもの、喜びを表す感情表現、そして体の不調や病気のサイン、それぞれを見極めるには、日々の観察と理解が欠かせません。

愛犬の幸せは、飼い主の気づきから始まります。飼い主が愛犬の小さな変化に敏感であることは、信頼関係を深めるだけでなく、健康を守るためにも非常に重要です。無理にやめさせるのではなく、その背景にある理由を探り、犬が安心して生活できる環境を整えてあげましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました☺

この記事を書いた人

トリマー ひろこ

大学卒業後、「走れ!T校バスケット部」作者のもと、アシンスタントとして勤仕。数年後、昔から夢だったトリマーを目指し専門学校に入学。JKCトリマー・ハンドラー資格取得。トリミングサロン、動物病院、個人店経営の経験後、現在は母校の専門学校で運営の手伝いをしながら、記事を制作。18歳の息子をもつシングルマザー。