西郷隆盛と犬の深い絆!愛犬ツンと薩摩犬の物語を徹底解説

東京・上野恩賜公園の象徴として親しまれている西郷隆盛像。浴衣姿で犬を連れた姿は、多くの人が一度は見たことがあるでしょう。なぜ西郷隆盛は犬を連れているのでしょうか。それは、彼が“歴史でも屈指の愛犬家”だったからです。

多いときには10匹以上の犬を飼っていたほど。今回の記事では、愛犬「ツン」との絆から絶滅した薩摩犬の姿まで、犬と歩んだ西郷隆盛の人生をわかりやすく紹介します。

出典:wikipedia

なぜ西郷隆盛は犬を深く愛したのか

西郷隆盛が犬を愛した背景には、意外にも“健康のため”という理由がありました。

1.犬との山歩きがダイエットに

維新後、政治の中心にいた西郷はデスクワーク中心の生活となり肥満気味に。医師ホフマンから運動を勧められ、犬と山歩きに出るようになります。この散歩がきっかけで犬への愛情が深まり、やがて彼の生活に欠かせない存在となりました。

2.当時は珍しかった「犬の散歩」

江戸〜明治初期の犬は、狩猟などの“働く犬”が主流。ペットとして散歩をする文化はほとんどありませんでした。西郷隆盛は、人よりずっと早く「犬と散歩を楽しむ」生き方を取り入れていたのです。

ひろこ

愛犬との散歩は、現代でも運動不足の解消に最適。絆を深めながら心も体も健康になれる習慣です。

愛犬「ツン」との特別な物語

西郷隆盛が特に情を寄せたのが、メス犬の「ツン」でした。

1.運命の出会い

西郷が藤川天神を訪れた際、前田善兵衛が飼っていたツンにひとめぼれ。ウサギ狩りが得意な薩摩犬で、その賢さと愛らしさに心を奪われ、譲り受けることになりました。

2.2度も故郷に帰った忠犬

ツンには、故郷の東郷町へ二度も逃げ帰ったという逸話があります。それほど帰巣本能が強かったツンですが、最終的には西郷のもとで生涯を過ごしました。

3.銅像の犬はツンではない?

上野の銅像に寄り添う犬はオス犬で、実際のツンとは異なります。モデルになったのは、薩摩出身の軍人・仁礼景範の飼い犬「サワ」。一方、鹿児島の藤川天神にはツンの銅像が建てられており、こちらが“本当のツン像”です。

ひろこ

愛犬との思い出は、写真や動画で残すのがおすすめ。のちの宝物になりますよね。

西郷隆盛と暮らした犬たち

西郷はツン以外にも、多くの犬と生活していました。

1.10匹以上を飼っていた豪壮な暮らし

明治維新後に住んだ武村の屋敷が広かったのは、多くの犬を飼うためだったと伝わります。それだけ深い愛情を注いでいた証です。

2.個性的な名前の数々

記録に残る名前は「シロ、クロ、ツン、ユキ、ゴン、テツ、カヤ、トラ」など見た目に由来するものが多め。珍しいものでは「攘夷家」という犬もいました。外国人にだけ吠えるため、この名がつけられたそうです。

3.愛情あふれるエピソード

鰻屋で犬にこっそり鰻を与えたり、懐かない犬にも根気強く向き合ったり…。西郷隆盛の犬への接し方は、当時の「使役動物」という扱いを大きく超え、現代的な“家族としての犬”の価値観に近いものでした。

出典:wikipedia

絶滅してしまった薩摩犬とは

西郷隆盛が最も愛したのは、薩摩地方にいた「薩摩犬」という日本犬でした。

1.外見と特徴

柴犬と同じくらいの大きさで、立ち耳・差し尾が特徴。子犬は茶色で、成長につれて黒毛胡麻に変化していきました。

2.忠実で勇敢な気質

人に忠実で運動能力が高く、イノシシ猟やウサギ狩りで活躍した優秀な猟犬。野性的な一面もあり、この忠誠心が西郷を惹きつけた理由と考えられます。

3.ルーツ

薩摩犬は、甑島の「甑山犬」が祖先。地元の犬と交配され誕生した“地犬”と呼ばれる地域固有の犬種でした。

ひろこ

日本犬は忠実で警戒心が強い傾向があります。子犬期の社会化がとても大切です。

なぜ薩摩犬は絶滅してしまったのか

薩摩犬は1920年ごろに絶滅したとされます。

1.洋犬との交雑

明治期以降、西洋犬が人気を集め、交配が進んだことで純血の薩摩犬が減少。維持が難しくなっていきました。

2.飼育の難しさ

野生に近い気質で、一般家庭では扱いが難しい面もあり、次第に飼う人が減少しました。

3.保存活動の限界

「薩摩犬保存会」が復活を目指し交配を進めましたが、ブリーダー不足などで活動は中断。純血を受け継ぐ犬はほぼいなくなり、事実上絶滅したとされています。

西南戦争と犬たちの最後の絆

西郷隆盛の犬への愛情は、生涯変わりませんでした。

1.戦地にも連れて行った犬たち

西南戦争でも数頭の犬を連れ、食糧が尽きる中でも自分の食べ物を分け与えながら世話を続けました。

2.最後に犬を逃がした理由

軍を解散する際、西郷は犬を逃がしました。「せめて犬だけでも生き延びてほしい」そう願って手を離したのです。このエピソードは、西郷隆盛がどれほど犬を大切にしていたかを物語っています。

まとめ

西郷隆盛にとって犬は、単なる使役動物ではなく“家族”でした。愛犬ツンをはじめ、多くの犬たちは西郷の日常と心を支えていました。上野公園の銅像や鹿児島のツン像が今も残るのは、彼と犬たちの絆が時代を超えて語り継がれている証です。

現代に生きる私たちも、愛犬を家族として大切にし、健康や心の支えとして寄り添い合えます。西郷隆盛と犬たちの物語は、人と犬の深い絆の尊さを今も静かに伝え続けています。最後までお読みいただきありがとうございました☺

この記事を書いた人

トリマー ひろこ

大学卒業後、「走れ!T校バスケット部」作者のもと、アシンスタントとして勤仕。数年後、昔から夢だったトリマーを目指し専門学校に入学。JKCトリマー・ハンドラー資格取得。トリミングサロン、動物病院、個人店経営の経験後、現在は母校の専門学校で運営の手伝いをしながら、記事を制作。18歳の息子をもつシングルマザー。