愛犬をサロンや病院に連れて行った時に「あれ?いつものトリマーさんがいない…」なんて感じたことはありませんか?トリマーは人の入れ替わりが激しい業界で、退職者も多いので常に人手不足の状態です。今回の記事では、「なぜトリマー業界は人手不足なのか」に焦点を当て、今後の対策も合わせてお伝えしていきます。
トリマーになる人が少ない現状
可愛い動物に囲まれて、手に職がある仕事として人気を博した「トリマー職」。一昔前は、憧れる人も多く活気に満ちた業界でした。経験を積んで、“独立”や“フリーランスのトリマー”として活躍できる職業でドッグショーや、指導者、トリマーからトレーナーになる人もいた華やかな業界です。
しかし現状のトリマー業界は危機的状況に陥っています。昨今の時代背景から見るとペットの数は増加傾向にあります。ペットの数に対してトリマーの数が追いついていない現状があります。
では、なぜトリマーが減少傾向にあるのでしょうか。その原因は「辞めていく人が多いから」です。苦労してトリマーの道を歩んだはずなのに、辞めてしまう原因とは一体なんでしょうか?
退職する【4つ】の原因
トリマーとして、トリミングサロンや動物病院で勤務してるものの、残念ながら退職する人も多いのではないでしょうか。では、なぜ退職に至るのでしょう。主に4つの原因が考えられます。
- 心身ともに想像していたよりキツい
- 待遇が悪い
- 犬と自分のケガ
- 犬が嫌いになった
1は、犬に携わりたくてトリマーを選んだものの、想像していた以上に厳しい世界で疲れてしまったことが原因で退職してしまいます。トリマーは「可愛い犬と触れ合えて、楽しく仕事ができる」というイメージが強いため、働いてからの“ギャップ”があるのかもしれません。トリマーは地味でコツコツ作業が多いのです。
2は、心身ともに疲弊して、更にお給料が安く拘束時間が長いことが原因となり、トリマー業界に希望が持てず辞めてしまう人が多くなります。トリマーは、サービス業なので休日も不定期です。常にお客様ファーストで友達との休みが合わず、残念に思う人も多いでしょう。
3は、自分がケガをするより、ケガをさせてしまう方がショックは大きいです。思い出して眠れないこともあります。トリマー歴が長いとケガは致命的です。
歴が長いと、ある程度自信を持って仕事をしているのにも関わらず、ケガをさせてしまったときの落胆は激しく自信をなくすことが退職の原因になるのです。【実録】私の「トリマーになって大変なこと」8選!でも書きましたが、噛まれて跡が残ることもあります。
4は、トリマーは忍耐がないと継続できません。「犬が好き」だけの理由ではじめてしまうと、幻滅することもあります。犬が好きで、さらに「母性」が強くないと続けることは難しいのです。
トリマーには【母性】が必要?
母性の定義は「女性がもっているとされている、母親としての本能や性質。また、母親として子を生み育てる機能」のこと。母性本能が強い人は、犬がいうことを聞かなかったり、想定外のことをしてイライラしても辛抱強く向き合うことができるのではないでしょうか。
「刃物を扱う+動物」なので、いつ何が起こるか分かりません。我慢強さがないとくじけることもあるでしょう。そういう意味では、子育てと類似しているといえます。母親が子に向ける愛情は無償です。犬を思い通りにしようとするのではなく、その犬に合わせて待つことも必要ですよね。
犬の落ち着きがなかったり、言うことを聞かないときには必ず理由があります。犬は話すことができないので私達トリマーが理解するしかないのです。感情的になることもありますが、犬にもイライラした気持ちが伝わります。そんなときは深呼吸して、一旦テーブルから下ろしてみましょう。
年齢制限
トリマーを続ける上で悩むことが“年齢”です。トリマーは体力勝負のため「いつまで続けられるだろう?」と考えることがありませんか?結論からいうと、トリマーに年齢制限はなく「無制限」で働くことができます。体力は人によって異なるため年齢制限はありません。
トリミングサロンや動物病院の求人欄に、年齢制限を記載していることがあります。これはチームワークで動くため、調和がとれ業務がスムーズにおこなえるようにある程度の年齢制限を設けているのです。体の自由が効くまでは続けたいと思っているトリマーは多い傾向にあります。
今後の対策とは?
トリマーが減少傾向にある現状を踏まえた上で、どうしたら辞めずに長く続けられるのでしょうか。新たなトリマー志願者を増やすためには、上記で述べた原因の逆の事を行えばよいのです。
- 楽しく働ける環境
- 充実した福利厚生
- 怪我が起きないように協力し合う
- 年齢制限を設けない
楽しい職場にするには、一人ひとりの思いやりと助け合いが必要です。福利厚生を良くするためには、経営者の力が必要です。
ケガをなくす対策は、「断る」「保定してもらう」「時間をかける」のいずれかになります。断ってしまうのは、気が引ける!と思いますが、長い目で見れば、下手に引き受けるほうが犬のためにもトリマーのためにもなりません。
気持ちが高ぶっていると、周りが見えなくなるものです。イライラしてしまったら、まずは深呼吸しましょう。そして犬から離れましょう。「母性」はどんな人にも必ずあるはずです。
犬が落ち着かないのは、「排尿」や「足が痛い」「緊張している」などの理由が考えられます。気持ちが落ち着いたときに、何が原因なのかを探してみてください。時間を置いて見えることもあるはずです。
まとめ
今回の記事では、深刻な「トリマー不足の原因と今後の解決策」についてお伝えしました。文章で書くのは簡単ですが、実際に行動に移すのは大変ですよね。トリマー業界全体で改善するように動かないと業界の「伝統ある悪しき習慣」が正されることはないのではないでしょうか。とりあえず、動くことが変わる第一歩です。
最後までお読みいただきありがとうございました☺