トリミングサロンやペットホテルに預ける際に「ワクチン接種の証明書」の提示を求められた経験はないでしょうか?どのサロンやホテルも、初めて利用するときは必ず求められますよね?
なかには、証明書を保持していない飼い主さんをお断りするお店もあります。なぜ提示しないとならないのか?そもそも、混合ワクチン接種は義務なのか?疑問に感じた人もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、意外と知らない「ワクチン接種」について解説するとともに、ワクチンにはどのような種類があって、何の予防効果があるのかなど、お役立ち情報をお伝えしていきます。

ワクチン接種とは?
みなさんがよく耳にする「ワクチン」。耳にしたことはあるけど、よくわからないと思っている人も多いのではないでしょうか。
一般的に呼ばれる「ワクチン」には二種類あります。「混合ワクチン」と「狂犬病ワクチン」です。
そもそもワクチンとは、“殺菌された病原体を接種すること”をいいます。病原体を接種して大丈夫なの?と心配になりますが、体内では異物から体を守るため免疫が作用し、菌に抵抗しようとします。
この免疫が病気の発症を予防してくれているのです。病原体は犬にも存在し、命を脅かす病気もあります。抵抗力が弱い子犬や高齢犬は、感染によって亡くなる可能性が高くなるため、ワクチンの接種はとても大切なことなのです。
トリミングサロンやペットホテル、ドックランなど、飼い主さんが何気なく利用する場所で、他の犬と接触する機会がありますよね?実は、このような場所でも感染のリスクが高くなるのです。
さらに、犬から人に感染する可能性がある「人獣共通感染症」もあります。人も犬も安全に暮らせるよう、衛生上の観点においても、ワクチンを接種することは重要なことなのです。
ワクチンの種類
混合ワクチン
混合ワクチンは、2~11種混合の種類があり、病気に効果的なワクチンを組み合わせて一度に接種します。
混合ワクチンには、「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の2種類があります。
「コアワクチン」は、すべての動物が対象で、接種を推奨されているワクチンです。
コアワクチンの対象となる感染症は
コアワクチン
- 犬ジステンパーウイルス
- 犬伝染性肝炎
- 犬アデノウイルス
- 犬パルボウイルス
の4つがあげられます。
ノンコアワクチンの対象となる感染症は
ノンコアワクチン
- 犬レプトスピラ
- 犬パラインフルエンザウイルス
- 犬コロナウイルス感染症
の3つが挙げられます。
混合ワクチンで予防できる感染症
では、混合ワクチンで予防できる感染症とはどのような種類があるのでしょうか?
混合ワクチンで予防できる感染症の例
- 犬ジステンパーウイルス感染症
- 犬伝染性肝炎
- 犬アデノウイルス2型感染症
- 犬パルボウイルス感染症
- 犬パラインフルエンザウイルス感染症
- 犬コロナウイルス感染症
- 犬レプトスピラ感染症
などがあります。
以下が、混合ワクチンの種類別図表になります。
9種以上のワクチンは、犬レプトスピラ症の血清型が追加になります。
種類 | 2種 | 3種 | 4種 | 5種 | 6種 | 7種 | 8種 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
犬ジステンパー | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
犬伝染性肝炎 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
犬アデノウイルス | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
犬パルボウイルス | ● | ● | ● | ● | ● | ||
犬パラインフルエンザ | ● | ● | ● | ● | ● | ||
犬コロナウイルス | ● | ● | |||||
犬レプトスピラ | ● | ● | |||||
ウイルス名 |

混合ワクチンには、たくさんの種類があるのですね!カタカナに慣れていない私にとって、ウイルス名を覚えるだけで大変です。

ワクチンを接種する期間は?
では、ワクチンを接種するプログラムはどうなるのでしょうか。混合ワクチンの接種回数は、計3~4回が必要になります。子犬の場合、1回目は、生後6〜8週頃が目安です。その後は3、4週間ごとに接種を繰り返し、16週齢頃には3回目の接種を行います。
それ以降は、1年に1回の追加接種が基本になります。しかし、抗体検査で不要と判断されれば、接種をしなくても良いのです。必要に応じて1〜3年ごとに接種することもあります。
ワクチン接種は任意?義務?
狂犬病ワクチン
狂犬病ワクチンは、一年に一回接種する義務があるワクチンです。
狂犬病は、ウイルスに感染している動物に噛まれることで感染し、発症するとほぼ100%で死に至る病気です。狂犬病ワクチンを接種することで「人獣共通感染症」を防止する役割もあります。
狂犬病の予防接種方法には2通りあります。
狂犬病の予防接種方法
- 自治体による集団接種
- 動物病院での個別接種
「集団接種」は、区市役所から飼い主さんのもとに案内が届きます。指定された日時や場所に行き、接種をおこなうことができます。実施期間は4月~6月ですが、地域ごとに日程が異なります。
指定される場所は、公園や公民館などが多いです。費用は3,000円前後に設定されています。予防接種をすると「注射済票」が交付され登録管理されます。
接種時期や場所、費用等の詳細は、お住いの市町村窓口までお問い合わせください。「個別接種」は、いつでも動物病院でおこなうことができますが、費用は病院によって異なるためお問い合わせください。
混合ワクチン
混合ワクチンは、狂犬病以外の主要な感染症を予防するためワクチンです。狂犬病は義務に対して、混合ワクチンは任意になります。任意にはなりますが、ワクチンプログラムに沿って接種する飼い主さんが多い傾向にあります。
混合ワクチンのポイント
- 狂犬病は年に一回の義務
- 混合ワクチンは任意
ホームトリマーはワクチン不問
自宅出張トリミング「ホームトリマー」は、トリマーが個別の自宅に訪問するため他の犬に感染させる危険がないため、混合ワクチンの接種は不問としています。
狂犬病ワクチンの接種は義務であるものの、現実的なさまざまな理由で接種していない場合もあるでしょう。ホームトリマーとしては、担当トリマーが許可するのであれば狂犬病ワクチン未接種でも予約受付を可能としています。
ただし、混合ワクチン狂犬病ワクチンともに、未接種の場合はその理由を記載いただき、その理由の内容によってはお断りする可能性がありますので、ご了承くださいませ。
まとめ
いかかでしたか?ワクチンの種類や接種方法などの細かい情報は、自分で調べないとわからないですよね。ワクチンはペットを飼ううえで必ず必要になります。今後ペットサロンで提示を求められたときは、この記事を参考にしていただけたら幸いです。