動物と関わることができて、楽しそうなイメージがあるトリマー業界。
しかし、前記事にも書いた通り「人間関係の悩み」や、トリマーには他にも悩むことがたくさんあります。
途中で辞めてしまう人がいる中で、長年頑張って続けている人もいます。
では、なぜ悩みをもちながらも続けることができるのか?
トリマーが普段どんな仕事をしているのかは、実際に働くトリマーにしか分からないもの。
今回の記事では、トリマーが普段「どんな仕事をしているのか」と、トリミングをして「嬉しかったこと・辛かったこと」をランキングにしてお伝えしていきます。

トリマーってなに?
トリマーは、「Trimming(トリミング)=整える」が語源となり、トリマー=整える人として一般的に広まりました。
しかし、トリマーは、全世界で共通する名称ではないことを知っていましたか?
「Grooming(グルーミング)」する人、通称「グルーマー」と呼ぶのが正しいのです。
グルーミングとは、犬の被毛の手入れのすべてをいい、トリミングは犬体各部のバランスを取るためにカッティングなどの技法で被毛を整える技術をいいます。
トリミングは、グルーミングの中に含まれる一つの技法なのです。
とある学校の先生が、トリマーと名付けたのをきっかけに広まりました。
(日本では、「グルーマー」より「トリマー」の方が認知度が高いため、今後の記事もトリマーとして書いていきます)
いまでこそ、ある程度はトリマーという名前が知れ渡っていますが、まだまだ職業として認知度が高いわけではありません。
先日、あるお店に行き職業を聞かれました。
胸を張って、元気よく「トリマーです!!」といいましたが、相手の方は「・・・」でした。
このようなやりとりは珍しくないため、「犬の美容師です」と改めると、「あー!」と納得した反応を示しました。
やり取りでもわかるように、トリマーは職業名としては、まだまだ認知度が低いのです。
美容師さんを知らない人はいませんよね?
同じ「毛」を切る仕事でも、人間と動物とではこうも違うものなのです。
- トリマーの語源は、Trmming=整えるである
- トリマーでも間違いではないが、グルーマーが正式名

ご高齢の方はとくに、トリマーと聞いてすぐに理解できないものです。少々悲しい気持ちになりますが、これから頑張ってトリマー業界を盛り上げていきたいとも感じました。
トリマーの仕事内容とは?どんな仕事をしているの?
トリマーの仕事内容は、朝出勤してから夜遅くまで体を動かし続けます。
体力をフルに使う、とてもハードな仕事です。
帰宅する頃にはクタクタに疲れているので家事をするのも正直辛い。
それに加え、接客やバックヤード作業、売上管理や在庫管理など幅広くこなさなければなりません。
ペットホテルをしている場所では、犬のお世話もします。
では、具体的にどんな仕事をしているのか、トリマーの1日のスケジュールをご紹介していきます。
- 出勤
- 開店準備作業
- 予約確認・ミーティング
- 開店
- 接客、電話応対、トリミング 、ホテルの世話
- 昼食
- 接客、電話応対、トリミング 、ホテルの世話
- 掃除、片付け、締め作業
- 勤務終了
これは一例ですが、だいたいこのようなスケジュールで1日が終わります。
トリミング中でも、電話応対や来客応対は必須です。
アテンドの人を雇っているところは少ないため、トリマーがすべて対応しています。
暴れるコや、噛みつきのコには、1人で対応するのが難しいため、2人がかりでトリミングをします。
しかし、スタッフが少ない場所だと1人ですべてを担う必要があります。
予約は、トリマーのカット時間や犬の大きさなどにより変わりますが、1日3〜4頭ほどが平均的でしょう。
忙しいからと言って、焦ってしまうと、集中力が切れ、ケガの原因になります。
トリマーは常に神経を張り巡らせながら業務をこなしているのです。
トリマーは大変な仕事の割にお給料が少ないです。(いまは昔に比べてだいぶ賃金があがりましたが)
動物が「好き」という理由だけでは続けることが難しいかもしれません。
- トリマーの仕事は体力勝負で過酷
- 1日3~4頭程度トリミングする
- 少人数で働いている場合、全て1人でこなすこともある

学生時代同期だった友達の半分は、違う仕事へと転職しました。しかし、トリマー不足だからこそ、今頑張って続けている人の希少価値があがるのでは?

トリマーになって嬉しかったことランキングTOP5
1位 飼い主さんがカットに満足し喜ぶ(指名される)
2位 可愛いカットができた
3位 なかなか懐いてくれなかった犬がなつく(コミニケーションがうまくいった)
4位 飼い主さんと仲良くなれた
5位 時短で上手に仕上げることができた
5位から解説していきます。
5位の「時短で上手に仕上げることができた」
これは、トリマーが目指すべき“短時間でキレイにカットする”ことができると、自分の技術が上がった実感がわき自信へとつながるのです。
4位の「飼い主さんと仲良くなれた」
はじめの頃は、緊張して打ち解けることができなかった飼い主さんが、常連さんになるにつれ色々な話をしてくれるようになります。
そんなとき、トリマーはとても嬉しく思うのです。
3位の「なかなか懐いてくれなかった犬がなつく」
犬にも、人間と同じように相性があります。相性が合わない犬でも、トリマーが心を開き歩み寄ることによって、徐々にですが心を許すようになってくるのです。
慣れてくると、トリミング時にコミニケーションがとりやすく、信頼関係ができます。
次回、トリミング時にスムーズにカットできるので、犬の負担が減ります。
2位の「可愛いカットができた」
飼い主さんからのオーダー通り、“可愛くカット”ができたと感じる時です。
トリマーの多くは、自分自身で“納得できるカット”の基準を持っているはずです。
思い通りのカットができたとき、トリマー自身、満足するものです。
1位の「飼い主さんがカットに満足し喜ぶ(指名される)」
トリマーはトリミング前に必ず飼い主さんに、カウンセリングをおこないます。
希望通りのカットをしたいので、丁寧に時間をかけてコミニケーションをとります。
希望通りに仕上げて、「可愛い!!」と言ってもらえると、やりがいを感じトリマーになって良かったと思うのです。
さらに、指名制を行っているサロンでは、指名されると自分のカットを気に入ってくれたと思い心躍ります。
トリマーは、飼い主さんの笑顔に癒やされ、元気をもらうのです。

トリマーのやりがいは、犬にも飼い主さんにも満足してもらえることなのです。
「可愛い」といってもらえることが最高の報酬になります。
トリマーになって辛かったことランキングTOP5
1位 ケガをさせてしまった
2位 クレームがはいった
3位 犬が懐いてくれない(コミニケーションがうまくいかない)
4位 思い通りのカットができなかった
5位 時間がかかりすぎてしまった
5位から解説していきます。
5位の「時間がかかりすぎてしまった」
以前の記事でお話しましたが、上手なトリマーは素早く隙きがないカットをします。
トリミングには、「犬種」や「大きさ」、「被毛のもつれ」や「毛玉」に対して、
おおよその“枠”が決まっています。枠内に仕上げなければ、次の予定もズレてしまうのです。なかには、時間に間に合わないため、十分なカットができないまま返してしまうお店もあるほどです。
また、トリミング時間が長ければ、犬の負担も大きくなります。
何時間も立った状態が続くわけですから、人間でも辛いですよね。
病気の犬に対しては、美しさよりも、早さを重視します。病院でのトリミングは、とにかく「時間を気にしながらケガなく素早く」がモットーになります。
4位の「思い通りのカットができなかった」
先ほどお伝えした、トリマー自身の「納得できるカットの基準」があります。
時間をかけて、丁寧に仕上げたはずなのに、思った通りのカットができないときなど
とても落ち込んでいます。
考えすぎてしまう、繊細なトリマーの場合、「トリマーは自分に合っていないのかな?」と思い悩んでしまうほどです。
3位の「犬が懐いてくれない(コミニケーションがうまくいかない)」
犬にも相性があるとお伝えしましたが、時間をかけても仲良くなれない犬もいます。
犬にも色々な性格があり、またトラウマをかかえたコもいるのです。
例えば、保護犬だった犬や、人間のことを怖いと思っている犬、「犬見知り(犬が苦手)」なんてこともあります。
主観ですが、人間の子供と似ている部分があるのではないでしょうか。
保育士さんが時間をかけて仲良くしていくように、犬も時間をかけて、少しずつ慣れていくしかありません。無理やり抱きかかえたり、構いすぎるとかえって逆効果になるので避けましょう。
2位の「クレームがはいった」
飼い主さんとトリマーの間に、カットのイメージの違いがあり起こり得ます。
例えば、飼い主さんは、「顔もマズルも丸くカット」してほしかったのに、トリマーが勘違いして「スッキリカット」をしてしまった、など。
お互いのイメージに相違があると、トラブルのもとになります。トラブルを避けるために、十分なカウンセリングををオススメします。
1位の「ケガをさせてしまった」
ケガは犬も、飼い主さんも、トリマーも、誰もがショックな出来事です。
特に、トリマー側は加害者のためショックで辞めてしまう人もいるくらいです。
あってはならないことですが、やはり人間ですので間違いはあります。
ケガをなくすために、暴れるコなどは保定に入ってもらったり、どうしてもトリミングできないコには、数回に分けて来店してもらったり、と工夫しながらおこなうようにしましょう。
時間はかかりますが、ケガをさせてしまうリスクを考えたら手間は惜しみません。
トリマーは大なり小なり一度はケガをさせたことがあります。
ケガをさせてしまったことで、はじめて気づくこともあるのです。(ケガをさせてしまった犬には本当に申し訳なく思っています。)
同じミスをしないためにも、集中力を高め、最善の注意をしながらトリミングをしていきましょう。
まとめ
いかかでしたか?
「これからトリマーを目指す人」は、正直楽な仕事ではないですが、やりがいはあります。
体力的、精神的に辛いこともありますが、犬に癒やされ、飼い主さんとのやりとりに笑顔になれる素敵な職業です。辛いことはいつの間にか忘れてしまいますよ。
お給料問題も、いまは改善されつつあります。福利厚生なども、昔と違い、充実しているサロンや病院も多いです。
主観ですが、個人経営のお店は、お給料が少なく福利厚生もちゃんとしていない印象があります。
安定して働きたいなら、大手の会社に勤務するか、または病院でしたら安定していますので、求人検索してみてくださいね。
できれば、看護業務とトリミング業務が分業されている病院を選ぶといいかもしれません。
技術を身につけて独立する道もあります。夢がある仕事でもありますので、是非素敵なトリマーさんを目指して頑張ってくださいね。
「現役トリマーさん」は、共感していただける内容でしたか?
サロン、病院、個人店、出張、などによって、感じることは様々ですが、おおまかに見て共感していただける内容でしたら記事を書いたカイがあります。
飼い主さんには、自分の大切な家族を預けることなので、心配や不安はあると思います。
普段、私達トリマーが、どんな仕事をしているのかを知ってもらえたら嬉しいです。
トリマーに興味がある方へは、この記事を読んで、なんとなくでも理解してもらえると幸いです。
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